詩 灰色娘
私の眼から見て
あの娘はいい、この娘もいい、その娘もいい
いい、いい尽くしが過ぎてしまい
私の頂いた娘は
灰色娘だった
何たる皮肉、悲惨さだ
その娘の手にかかると全てが灰色にー
私の薔薇色の頬も痩せ劣り
萎れていく一方
灰色娘は肥え太り
そのきびかましさは類がなし
この世の中を
はかなんで(それだけ私は弱っていた)
辞世の句でもと思っていたら
ある日私に天使が現れ
告げていったー
"あなたの最初のあの娘の為に
エメラルドのカフスボタンをお付けなさい。
そうすればあの娘のエメラルド色の瞳が
あなたをお守りしますでしょう"
それから25年も男は生きて
カフスボタンは灰色娘の手に
灰色娘はすぐに質屋に売飛ばし
灰色の家具に替えてしまった