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金龍曼荼羅
作品名:金龍曼荼羅
制作年:2021
![](https://assets.st-note.com/img/1659892309703-tLNDGs4ntq.jpg?width=1200)
金色の文字によって紡がれた龍の曼荼羅。上層界曼荼羅とも。文字はもっとも身近で親しみ深い龍の姿であり、金色の光彩によってその霊験が陽陽と映し出されている。曼荼羅は密教の仏や菩薩などが衆会する様子を図像したもので、悟りの境地を図式化したものだと伝えられる。
この金龍曼荼羅は一枚の紙面上に描かれたものではなく、一柱一柱の龍が必要な時に必要な場所で必要なだけ留まった様子を写したことで浮かび上がった神像であり、龍の棲む世界とされる上層現実界がカメラのレンズを通して結像した瞬間でもある。龍はこうした必然性の中に宿る存在であり、そこではすべての事柄が時宜に適ったかたちで進み、それゆえ過ちも誤りも一切存在しないのだという。この曼荼羅もその必然性によって産まれたものであり、また必然性そのものでもある。
古来より龍と九とは関係が深く、たとえば三停九似説や龍生九子伝説、日本でも各地に九頭龍にまつわる伝承が残っている。また鱗の数も八十一枚(81=9×9)と、龍はどこまでも九に彩られている。
源龍図には『九龍』なる画があったことが確認されているが、未詳。この曼荼羅はおそらくその流れを汲むものであろう。中段左右が鱗を、中央を挟んだ上下が宿した九子の魂を、残る五龍は宇宙を構成する地・水・風・火・空の五大元素を表していると解される。
委ねる芸術家