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臼山八幡神社【石内の氏神様】【広島市佐伯区】
783(延暦2)年に豊前国宇佐八幡宮の仲哀天皇(帯中津日子命) 、応神天皇(品陀和気命) 、神功皇后(息長帯日売命)の御霊を分けてもらって創建。
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1184(寿永4)年の源平合戦で源範頼が当地に陣を張り、篤く崇敬した。また、源氏軍の佐々木左衛門国正が水晶ヶ城に入城して今市・串山城の平家方と戦った時も当神社を信仰したという。
また戦国時代の大内氏と武田氏の争いでは、大内方の麻生右衛門鎮里が1541(天文10)年に背後の水晶ヶ城主となり、当神社を朝夕参拝した結果、開運したとして社殿を造営・寄進した。
1553(天文22)年の厳島合戦においては、毛利元就が戦勝祈願に訪れ、幕や釣燈等を寄進した。孫の輝元も当神社を信仰し、2度にわたり社領を寄付した。
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1908(明治41)年には村内の新宮神社、貴船神社、松丸神社、有井神社と合祀し、石内村の村社となった。
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「臼山」とは社のうしろにある山の名であり、水晶ヶ城の東翼の一部として構築されたため、上下二段に削られ臼の形になっている。
三間流造の本殿内には、中世に奉納物として流行した金銅円板懸仏(市重要文化財)が2体祀られている。
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鳥居は、1857(安政4)年に地元・石内の石切場(現在の五月が丘付近)の石材を運んで造ったものである。
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扁額の字は、第一次世界大戦での青島攻略の指揮を執ったことで知られる陸軍軍人・神尾光臣による揮毫である。
なお、境内には県下有数のモミ、スギ、クス、ケヤキ等の大樹群がある。
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境内にある「平和の塔」は、石内地区の軍恩分会が中心となって募金し、1983(昭和58)年に郷土の英霊の追悼と世界恒久平和の祈念のために建設された。
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― 昭和戦役に郷土より従軍され祖国の為に散華された七十五柱の英霊を追憶し、恒久平和を願って、この塔を建立す
石内従軍者 ―
昭和戦役において石内地区からは245人が従軍し、うち75人が戦死または戦病死、170人が生還した。表面の「平和の塔」の文字は、文部大臣等を歴任した灘尾弘吉によるものである。
なお隣にある「戦役紀年碑」の文字は、陸軍大将伯爵・寺内正毅の書である。
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祭典・神事
・歳旦祭(旧1月1日)
・祈年祭(4月上旬)、夏祭(7月下旬)
・例祭(秋祭り)(10月第2日曜日)
石内神楽の奉納、神輿のねり歩きなどが行われる
・新嘗祭(11月23日)
「蚊なしの谷」の伝説
稲荷堂の前で飢え死にしていたお坊さんを、ねんごろに埋葬したところ宮の下には、藪蚊がいなくなったということである。
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また境内には、陸軍一等軍楽長、作曲家である永井建子の生誕記念碑がある。
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