ABSTRACTION抽象絵画の覚醒と展開セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ展レポート

ARTIZON MUSEUM(「ミュージアムタワー京橋」に入っている)にて

(1)美術館の建物について


美術館の建物自体は近代建築です。ファサードはガラスのカーテンウォールでガラス窓と鉄のフレームが印象的です。
美術館エントランス
喫茶コーナーの上に売店が浮き上がっている感じがデ・ステイルで心が軽くなります。解放された気分で町とも連続しています。

(2)デジタル・コレクション・ウォー

展示作品を見た後に、4Fにデジタル・コレクション・ウォーという大きな薄手のモニターがありました。次々と画面上を流れてゆく作品にタッチすると大きく拡大され作品の題名その他が静止画面に表示され落ち着いて観られる様になっています。仲間でお見えになっていた5~6名の素敵な年配のご婦人の皆さんが楽しそうに話しながら画面の作品をご覧になっていたこの空間がこの建物の中で一番印象に残りました。

(3)展覧会の感想


ウンベルト・ボッチョーニ
『空間における連続性の唯一の形態』
この作品には「風」を感じます。「風」は波、宇宙の持っているエネルギーの形、波も「風」、詩の心は「風」の心
カタログに「ボッチョーニは新しい時代にふさわしい機械の美やスピード感、ダイナミズムを賛美する作品の創造を目指した。」とあります。

S.ギーディオン著『空間 時間 建築』太田實訳より引用以下
・・・未来はよる運動の探求・・・速度の美
1912年「未来は絵画についての第2の技術宣言書」の中で、未来派は、「運動している対象は、空間を通り過ぎる際に、振動そのものになって、多様化され歪を受ける。」・・・ボッチョーニ「物体を、その内外の無限の形成力で眼に見えないものに結び付けている新しい形態を発見するために、われわれは生れ出ようとする物体の中核から出発しなければならない。」ボッチョーニはこういう言葉で、(実際にあるがままの)運動中の物体をはらんでいる新しい形成力の意味を定義づけようとした。以上

マーク・トビー
『傷ついた潮流』
この作品は鉄条網の張り巡らされた有刺鉄線により傷ついて心まで痛い感じがします。

写真はありませんが、津上みゆきさんの『View Water 1:37pm23 December 2022 2023』からは池に雨が降っていて木の葉が緑から黄色へ変わりつつあるのとピンク色の花が池に映り込んでいる。というイメージを得ました。

ジャコモ・バッラ
『輪を持つ女の子』
このからは絵は風の中を走り抜けてゆく少女のイメージを得ました。
カタログには「1915年に制作された本作品では、大きな輪を転がしながら駆ける少女の姿が認められるが、輪や少女の身体の一部は空間を旋回する円弧とほぼ同化しており、この時期のバッラの造形的関心を明確にうかがうことができる。」とあります。

(4)展覧会の最後に

基本的には予約制でしたが、多くの人が見に来ていて、モダンアートにこんなに関心が集まっているのかと嬉しくなりました。(2023年6月27日(火)朝日新聞夕刊に記事が掲載されて、「大型で色彩にあふれ、視覚や感情にストレートに訴える作品が多く、だれでも純粋に楽しめるのが抽象画の良さ」と書かれていましたし、私もそれについては同感です。)








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