右・左を全力で考えてみた!!
先週から今週にかけて三浦しをんさんによって著された『舟を編む』を読んでいます。こちらは玄武書房という出版会社の辞書編集部に所属する主人公の馬締光也が他の辞書編集部の方々や派遣社員などと協力して『大渡海』という一つ大型辞書を作る物語となっております。そんな壮大な内容を取り入れた作品の中において私はとあるワンシーンに目が留まりました。それがこちらです。
新しく辞書編集部に配属された岸辺みどりが右の説明について問われた際に「朝日を見ながら泣いたときに先に頬の涙が乾く方」と答えるシーンでございます。私はそんな立派な回答に思わず度肝を抜かれ、こんなことを考えてしまいました。
これに匹敵するぐらい素晴らしい説明はないのか!!
そんなことを思った私は様々な国語辞典における右と左の説明を記録し、比較してみることにしました。結果がこちらです。
・新明解の場合
右・・・アナログ時計の文字盤に向かった時に、一時から五時の表示がある側。
左・・・アナログ時計の文字盤に向かった時に、七時から十一時までの表示のある側。
・三省堂の場合
右・・・北を向いたときに、東にあたるがわ・方向。文章をたてに書いているとき、今よりも前に書いたところ。
左・・・北を向いたとき、西にあたるがわ・方向。
・小学館の場合
右・・・日の出に向かって南がわに当たるほう。
左・・・北を向いて西に当たる方向。
・明鏡の場合
右・・・人体を対称線に沿って二分したとき、心臓のない方。
左・・・人体の対称線に沿って二分したとき、心臓のある方。
なんだかんだ新明解の説明が最も分かりやすい気がしますね。中でも圧倒的に度肝を抜かれたのが明鏡の説明ですね。大体どの辞書も方角と言った概念に着目している場合がほとんどですが明鏡のように身体と言った概念に着目した説明は正直あまり目にしない気がします。私にとってこの説明はとても新鮮さが半端なかったことからまさに岸辺みどりの説明に匹敵するぐらい興味深く、素晴らしいと感じました。まあ、辞書編集部でもない私が偉そうに言うのも少し違う気がしますけどね(笑)
そんな作業をしていたら私自身もふとこんなことを考えてしまいました。
そうだ!自分も右・左の説明について考えてみよう!!
しかし、そういったって・・・
中々簡単に思いつくものでもないよな~。まあ、マイナス思考はやめましょう。四六時中ひたすら考え続ければ何かしら出るはずです。そんなことを信じて前向きに一日から二日ほど用事をこなしつつ考えたところ四つほどアイディアが思い浮かびました。それを今から順番に紹介していきたいと思います。
まず1つ目がこちらです。
東海道線で西に向かう際に富士山が見えるのが右、見えないのが左。
先週の土曜日に祖父の墓参りのためひたすら東海道線に揺られ富士駅へと目指していました。その際に熱海駅からずっと進行方向左側の座席に座って下を向きながら右と左の説明について考えていました。そんな中片浜駅を過ぎたあたりで対席に座っていた男の子が突然大声で駄々をこねだしたことによりうっかり顔を久々に前へ向けたところ正面にそびえ立つ富士山に思わず視点を止めてしまいました。その瞬間にふとこの考えが思い浮かび忘れないうちに急いでスマホのメモ機能にメモをしました。
あの時お向かいの男の子が駄々をこねてくれなければこのアイディアを生み出すことはおそらくできなかったと考えられるためとても感謝しております。
2つ目がこちらです。
ピアノの鍵盤において音が高くなるのが右、音が低くなるのが左。
今週の日曜日に気晴らしに坂本龍一のミュージックビデオをユーチューブで見ていた際に坂本さんが鍵盤の上で器用に手を動かす様子を見て「ピアノって鍵盤の場所によって音が異なるんだな」となぜか当たり前のことを考えてしまいました。その瞬間に「いや、待てよ。どこがどんな感じで音が違うんだ?あっ、右が高い音で左が高い音だ。やったぞこれぞ答えだ。」といったように一瞬にして答えとは程遠いヒントから一つの正解を導き出すことができました。
坂本龍一さん、あなたのおかげで一つのアイディアを生み出せました。ありがとうございます。
3つ目がこちらです。
ふなっしーの芽とヒマワリが生えている方が右側、生えていない方が左側。
先週の火曜日に京葉線で舞浜駅を通りました。その時に電車のドア窓からディズニーリゾートの様子を覗こうとした際に目の前に大きなミッキーマウスが描かれた広告が目に入ってきました。その瞬間あることが思いつきました。こうしたキャラクターは基本的にデザイン性に優れていることから例えば左右で目の形が若干違うと言ったように緻密に作られている傾向が強いことから様々なキャラクターの見た目を細かく観察し続ければ左右で若干作りが異なるようないわゆる右と左の説明への懸け橋となる存在に巡り合えると考えました。こうして実際にその存在にふさわしいのが観察したところ芽とヒマワリが必ず右側についているふなっしーだと私の中では思いました。
4つ目がこちらです。
昔の横書きにおいて最初の文字が位置する場所が右、昔の横書きにおいて最初の文字が位置する場所が左。
このアイディアが思いつく前に文章を縦書きする時に記載済みの文字が位置する場所が右でまだ文字が記載されていない箇所が左、文章を一列に横書きする際に最初の文字が書かれている場所が左で最後の文字が書かれている場所が右と言った二通りの説明が思い浮かびました。しかし、いずれもよく使われている比較的有名な説明に過ぎないことからこれにやや独自性を加えて面白くしてみようと考えたことからこのアイディアが完成しました。
ちなみにどうして昔は横書きを右から左へ書いたのかというと主に縦書きが影響しているようです。日本の縦書きは行が右から左へと進むことから文章が進む向きが統一されるように横書きも右から左へと書くのが一般的でした。しかし、日本において欧米文化の浸透が活発になっていったことにより英語教育が行われる機会が増え、その際に英語と和訳を並べて書く場合は英語が元々左から右へ書くことから和訳が右から左だと並びが逆で見ずらいという意見が発生し、あっという間に左から右へ読む横文字が普及して現在に至っているらしいです。
最後に
それでは以上のように右と左の説目について四通り考えてみましたがいかがだったでしょうか。さらに考え続ければおそらくもっと新しい説明が思い浮かぶと思うのでこれからもこの活動を続けていきたいと思っています。また、そのきっかけを与えてくださった『舟を編む』の著者である三浦しをんさんにはとても感謝しております。そしてできればいつの日か『右と左を全力で考えてみた続編』も発表しようと考えているのでようご期待ください。そのためには当記事を作成する過程で学んだように家でひたすら寝込んで考え続けるよりも実際に外へ出歩いて考えた方がアイディア誕生への懸け橋に巡り合える可能性が高まるためこれからは常に右と左について考えつつ日常の用事もこなしていく予定です。まあ、逆に右と左について考えすぎることによって大事な用事を忘れてしまったりなんかしたらえげつないためそこは気を付けようと思います(笑)
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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