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歴史を裏側から見る

幕末・明治維新の時期は、イギリス・オランダ・フランスなどが、日本を植民地にしようとして、いろいろな策士が暗礁したので、いわゆる『正史』が書けない時代でした。
誰もが正統だと主張し、策謀、暗殺などが日常的に行われたからです。
「仮説」すら、利害が錯綜して、何が何だかわからない時代なのです。
幕末から明治維新を「裏からスケッチ」した人たちの記録を拾ってみます。

『正史』というのは、勝利者になった側の人が、「この歴史はこんなだった」という整理の視点で書いたものです。いわば「勝利者の目線」からエピソードや評価を書いたものが多いですから、全て正しいとは言いきれません。

日本の『古事記』・『日本書紀』も、天武天皇が日本の国王として君臨するために、いろいろな物語・逸話をまとめて、神代の時代から書き起こしています。稗田阿礼が口実したものを文字にしたといわれますが、この人物だって、存在したかどうかわかりません。大化の改新を歴史で学びますが「大化」という年号すら怪しいのです。
 

アーネスト・サトウの記録

幕末・明治時代のイギリスの代表的な外交官が「アーネスト・サトウ」です。
サトウは日本の「佐藤」ではありません。彼は、生涯独身でした

アーネスト・サトウ

内縁の妻は武田兼で、3人の子供もいました。通訳として活躍しましたが、彼の日記・著作は「裏事情」の貴重な記録です。
彼の記録によると、幕末から明治にかけて活躍した高杉晋作の通訳をしたり、伊藤博文・井上毅・勝海舟らとの交流を含めた「裏の顔」の方が、計り知れなく大きいです。

通訳の位置は、大谷選手の例にみられるように、能力により圧倒的な「存在」ですから、通常は知りえない情報がたくさん入ります。
彼は、たくさんの記録を残していますから、沢山の人が研究しています。
「尾瀬の父」とよばれる植物学者の武田久吉は次男です。

グラバー邸の表と裏
 

長崎の小高いところにグラバー邸があります。
外庭から、長崎の港が一望されますから、今では観光地として有名ですが、出入りする船・港のチェックには最適です
このスコットランドの貿易商のグラバーは、幕末期の「死の商人」とよばれることが多いです。
幕府側にも討幕派にも「武器」を売り、戦争を仕掛けました。この邸宅にはいくつもの「隠れ部屋」があったそうです。両方に武器を提供していたからです。私は確認していませんが・・・。

彼の邸宅は横浜にもありましたから、活動の拠店は横浜だったかもしれません。坂本龍馬のスポンサーになり、彼の資本主義的な考え方は、グラバー商会から受け継いだといわれます。
下級武士の坂本龍馬が、一気に軍隊を編成し、武力訓練までできた背景には、グラバーがいたという説です。
当時としては、飛躍的な思考力ですが、竜馬のオリジナルではなく、西洋から導入されたものだといわれます。新選組が暗殺したというのも、一方的なようで、黒幕は誰かわかりません。

司馬遼太郎の「竜馬がいく」というわけにはいかなかったでしょうね。
素晴らしい<小説家=司馬遼太郎>は、「一人の人物に焦点」を当てて、時代を物語るのが得意です。「司馬史観」といわれるものです。

シーポルトのスパイ活動
 

シーボルトも、スパイ活動を行っていたというので、幕府から追放されましたね。没収されたはずの「伊能忠敬の地図」のコピーが、最近オランダ・ライデンで発見されたと報道がありました。どんなからくりでしょうか?
 
彼はオランダ人を名乗っていましたが、実際はドイツ人です。
日本にいろいろな影響を遺していますが、やはり妻子を残したことが大きいですね。娘の楠本イネさんが、混血児なので、大変な苦労をしながら、日本初の産科女医になったことが素晴らしいです。
孫の楠本高子さんもものすごく苦労したようですが、同じく産科医になり「銀河鉄道999のメーテル」のモデル、宇宙戦艦ヤマトの「スターシャのモデル」だということも有名ですね。

どちらが「虚」であり、「実」なのか?

さて、このように外交官・学者・宣教師たちの「裏の顔」は、諜報活動(スパイ活動)であり、出身国は勿論、関係国の国家利益にために諜報活動を行う人物であったことも不思議ではありませんね。
インテリジェンス(intelligennce)は、外交政策を進める上の基本です
プーチンは旧ソ連の諜報員であったことは有名ですね。

「虚」と「実と」いったら、歴史のうねりは、文字化されていないところにあるということを忘れることはできません。
ここに着目した「歴史小説」が、たくさん生まれてくるのは当然ですね。

フルベッキは、非常にわからない人物 

一番わかりにくい人物は、フルベッキです。
「幕末・維新の暗号」に登場してくる「フルベッキ」というオランダ系アメリカ人の宣教師です。非常にわからない人物です。

フルベッキ群像 

写真は「フルベッキ群像」とよばれるものです。
佐賀の藩校「致遠館」の46名の学生・教師たちを撮ったものです。
岩倉具視の2人の子弟の入学を記念して写したものだといわれますが、真実は「霧の中」です。中央のフルベッキ親子以外の人物で「誰」が映っているかが議論を呼んでいるのです。調べると面白いです。

というのは、この写真には「明治政府の要人」になった人・「皇国の首相となった人」がいると記録され、実際に、大隈重信・岩倉具定・岩倉具経らが確認できるという説もあって「謎めいた話」が大きく展開しているのです。
『正史』にはない、いろいろな推理・ミステリー・物語が生まれるのです。

早稲田大の大隈重信は、フルベッキから英語の指導を受けたとか、現在の立教大学・明治学院大学に深くかかわっていたのは、これらの大学が、「キリスト教伝道の拠点」だからでしょうね。彼のタテマエは宣教師だから・・・

明治初期の時代背景から、日本の知識人の多くが「彼と接触していた」のは当然だし、その故の「秘密の話」もあったことを予測できますからね。
その後、明治40年に刊行された『開国五十年史』(大隈重信編)にも「長崎致遠館 フルベッキ及其門弟」のタイトルで掲載されています。

 「幕末維新の暗号」は、興味深い「読み物」です

『幕末維新の暗号』(加治将一著)は、フルベッキの写真をベースにして、幕末維新に関係する著名人・志士たちを組み合わせた「歴史・推理小説」です。ノンフィクションといっていますが、徹底的に著者の独断で「物語を造っています」ので、論証を大切にする論文ではありません。

この小説は、「フルベッキ群像」の中央に写っている田布施村出身の「大室寅之祐」を、明治天皇の「替え玉」として即位させたとする推理物語です。
加治將一さんは「明治天皇すり替え説」という筋立てをしています。
在野には、こうしたミステリー物語が好きな人たちが沢山います。

「薩長史観」という考え方

明治政府では、幕末・明治政府は、薩長両藩の考え方で政治が行われていましたね。だから、独特の「薩長史観」が重要だったというのです。

幕末から活躍した木戸孝允(長州)、大村益次郎(長州)、伊藤博文(長州)、井上毅(熊本)、山形有朋(長州)、品川弥一郎(長州)西郷隆盛(薩摩)大久保利通(薩摩)などの人材が活躍しましたから、彼らの同志的な繋がりと考え方を「薩長史観」だという指摘があっても当然です。

現在もつづく長州藩の政治人脈

長州藩の人脈は、現在も続く重要な政治人脈です。
安倍晋三元総理の狙撃事件で注目されていますが、長州藩の人脈は強い力を持っています。かなりキナ臭く、現在の政治に繋がることが多いので、これ以上書きませんが、いろいろと調べる価値があります。

例えば、韓国とのつながりは経済面だけでなく、政治的な重要な力(集票力)といわれます。
安倍元総理の狙撃事件にも繋がることが沢山出てきます。
特に「統一教会との関連」を考えると祖父である「岸信介元総理大臣」との関係が興味深長ですね。

岸信介元総理の東京の邸宅の隣に「統一教会の本部」が置かれたという話があります。統一教会の文鮮明と深く関係していたともいいます。歴史の裏部隊です。彼は「佐藤家」の2男ですが、岸家に養子に出されました。
佐藤家3男の佐藤栄作元総理は実弟ですね。

また、この時期は、戦争・敗戦で大混乱していた時代ですから、
ものすごい勢いで「新興宗教」が勢力を拡大しました。
創価学会・霊友会・立正佼成会・生長の家・天照皇大神宮教などです。
いまでも、日本には新宗教とよばれるものが350~400あるといわれます。
この中で「天照皇大神宮教」は、岸信介元総理を支援したことは有名です。

歴史をどう観るか。どのように解釈するか?

明治維新・世界大戦前後の「政治」について、裏社会からの視点から、いろいろな資料・情報を「スケッチ」してみましたが、
結局、「自分の視点」「考える観点」が重要だと思います。

今回は、幕末・明治から、安倍晋三元総理大臣が狙撃されたことを関連づけて、背後にある「政治的暗誦」を書いてみました。
諜報活動もあわせて「歴史を裏面から考える」を考えてみたいですね。

国際的なネットが必要な時代です

日本は中東・アフリカにはネットがなく、
現地の商社など「民間からの情報」に頼っているのが現状のようです。
中欧にもネットはないし、西欧にも不足しているのがわかります。

「国益」を確保するためには、もっと主体的な情報網を構築する必要があるという指摘があります。そうしないと、独自の外交戦略を立てることができないといわれます。困りましたね。

庶民感覚からは、少し離れているように見えますが、実は日常茶飯の大問題なのです。
 
現代は、明治維新の「フルベッキ写真」にあるような時代から、
コロナ禍で体験したように、戦争、石油・原発などエネルギー問題、気象、ITなど環境問題、そして宇宙問題など、
日本国だけで問題解決ができない時代へと移り変わっています。

直近では、能登半島の地震がありますね。猛暑も台風も・・・。
簡単に行かないと思いますから、他国と連携していく姿勢を強く持つ必要があると思います。
 
  
   


 
 
 
 
 
 
 
 
  

  

 

 

  


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