ウィル~夢をかなえる旅~(2011🇬🇧)
原題: Will(2011、イギリス、103分)
●監督:エレン・ペリー
●出演:ダミアン・ルイス、ボブ・ホスキンス、レベッカ・ステイトン、ペリー・エグルトン、アリス・クリーグ、ジェーン・マーチ、クリスチャン・キーリング、ケニー・ダルグリッシュ、ジェイミー・キャラガー、スティーヴン・ジェラード
リヴァプールファンの少年ウィルがチャンピオンズリーグ決勝(04/05)の地、イスタンブールへと亡き父の思いと共にたった一人で旅に出る、というような話。
キアロスタミ監督の『トラベラー』と似たテーマだが、こちらの方が登場人物も多く色々な展開も多い。
父親の死が唐突だったりラストがハッピーエンディングすぎる感はあるが、子供を主役にした映画と考えればその辺のご都合主義もむしろ爽快に感じる。
パリ経由ブルガリアからのトルコへの入国ということでかなりの長旅のはずだが、うまい具合にエピソードを介摘みながらサクッとイスタンブールへ到着。
お金をすられたり、父親が遺したチケットがニセモノだったりさんざんな目には合うが、パリで出会ったアレク(ちょいブラピ似)、マチューといった大人たち、リヴァプールサポーターたちが皆優しい。
アレクの故郷サラエボでのエピソードはドラマチックにするために挿入しただけという気もするが、これをウィル視点でのサッカーを見ることを通してヨーロッパ内での格差を知るといった経験に落とし込むような作りにした方が良かったかなという感じもした。
平和があってこそのサッカーがあるんだという現実。
それを訓示するにしてもアレクは若すぎるし当事者としての苦悩がまだ消化できず、このシーンでは主人公のウィルは単に傍観者となっている。それも経験の一つと言えるが。
ダルグリッシュの他、キャラガー、ジェラードも出演しているのでリヴァプールファンは必見だが、必要以上にサッカーの試合にフォーカスししすぎてはいない(イスタンブールの奇跡そのものは一切取り上げていないどころか試合映像もほぼ出ない)のでドラマとして普通に楽しめた。