ノベンバー(2017🇪🇪)
原題: NOVEMBER(2017、エストニア=ポーランド=オランダ、115分)
●原作:アンドルス・キビラーク
●監督:ライナル・サルネ
●出演:レア・レスト、ヨルゲン・リイイク、ジェッテ・ローナ・ヘルマーニス、アルヴォ・ククマギ、ディーター・ラーザー
エストニアの封建社会の因習残る山地の村で起こる、まるで昔話の様な恐ろしく不思議な話。
全編白黒で撮られていることが大きな特徴。
光は闇があってより輝き、闇は光があるからより深まるように、極端なほどに白と黒のコントラストを意識したスタイリッシュな画作りがされている。
また、夜の雪明かりも表現されていてかなり凝っている。
バックに流れる音楽も暗闇の中で聴覚が冴えわたるように、恐怖と不安で薄っすらと包まれるような夜の静寂の中の不協和音のようなものを感じた。
蘇った白装束の死者たちが林の中を歩く場面とか十字路で悪魔に魂を売り渡すシーンなど、イメージショットの連続とも言えるけどそれらが全て見事に決まっているので退屈さは無かった。
水中に沈む幻想的なショットも『狩人の夜』を彷彿とさせてとても美しい。
魂を農具に入れて、ロボットとして仕事をさせる魔術《クラット》が日常の中に溶け込んでいてファンタジー的な演出はされていない。この唐突に超常現象が入りこんでいる感じもおとぎ話とか昔話っぽい。
雪だるまをクラットにするシーンではドラえもんのひみつ道具の「ロボットの素」の話を思い出した。