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ロスバンド(2018🇳🇴)

原題: LOS BANDO(2018、ノルウェー=スウェーデン、94分)
●監督:クリスティアン・ロー
●出演:ターゲ・ホグネス、ヤコブ・ディールード、ティリル・マリエ・ホイスタ・バルゲル、ヨナス・ホフ・オフテブロー

ユーロは閉幕したけどとりあえずヨーロッパ映画を観ていこうシリーズ。

てっきりノルウェーも出場するのかと思ったら予選敗退。ウーデゴールとハーランドがいてなぜ本戦にも出られないのか謎。

だいぶ前にレンタルDVDで『キッチン・ストーリー』を観て以来、多分2本目くらいに観るノルウェーの映画。

著名な映画監督や作品を輩出しているスウェーデンやフィンランド、デンマーク、アイスランドなど他の北欧諸国と違い、そこまで映画界では有名でないのも謎。

ロック大会に出るためにノルウェーを縦断する旅(ヘドマルクからトロムソへ)に出た4人の少年少女のお話。

シング・ストリート』や『スクール・オブ・ロック』と似たようなテーマだけど、登場人物は少なく、よりシンプルな作り。

ノルウェーの雄大な自然が背景になっているだけで十分すぎるくらい絵になっている。

北欧といえばメタルやラリーのイメージもあるが、登場人物の一人マッティンはまさに父親からレーサーになるための特訓を受けている。

ベースとして加入する女の子がチェリストというのは『スクール・オブ・ロック』でもあったようなネタだが、こちらはベースに持ち替えることなく本当にチェロを演奏している。

伝説のドラマー、ハマー(HR/HM系)に憧れるドラムのグリル、00年代UKガレージロック系のルックスをした音痴ギタボのアクセル、アイドルバンド風のマッティン…こう4人を並べると正直バンドとしての統一感が全くなくて未完成な印象。

だからこそこの4人が活動をつづけていったときにどういう風に成長していくのかを見てみたいという気にさせる。

ベースのティルダは部屋の壁紙にゴーストタウン、ピラミデン(以前クレイジージャーニーで放送されていた)の写真を張ったりと内省的な感じが芸術家肌っぽくて、このままいけば将来バンドのアート精神を象徴する役割になるだろうな、とかドラムのグリムは早くもPCで音程調整とかやってたのでトロムソ~ロイクソップの連想から、ソロでDJとかリミックス仕事とかやりそうだなとかそんな妄想が捗ってしまう。

「ロックはもう死んだんだ」という台詞がある。

それこそジョン・ライドンが言った時にはリアルなインパクトはあっただろう。(実際PIL初期三部作でもってトドメを刺した実行犯だ。)

でもロックって、死んでまた復活して…を繰り返しながらもみんなが共有する「時代のムーブメント」があった時は去り、悲しいかな「個」の時代となった今ではもう誰かの所有格付きの言葉なんじゃないかなと最近思っている。

「おれのロック」、「あなたのロック」みたいに。

だから、誰かが勝手にロックは死んだなんて宣言したところでもう響かない。

「彼らのロック」はこの映画の中でずっとずっと生き続けていく。

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