火事だよ!カワイ子ちゃん(1967🇨🇿)
原題: Hoří, má panenko(1967、チェコスロヴァキア、73分)
●監督:ミロス・フォアマン
●出演:ヤン・ヴォストゥルチル、ヨゼフ・シェバーネク、ヨゼフ・コルプ、フランチシェク・スビェト、ヨゼフ・ヴァルノハ、フランチシェク・デベルカ、ミラダ・イェシュコヴァー
ユーロ開催に乗っかってヨーロッパ映画を観ていこうシリーズ。
チェコスロヴァキア時代のミロス・フォアマン監督初期作品。
「おじさん映画」というジャンルがあるのだとしたら前半はまさにそんな感じ。
後半からは何が何だかしっちゃかめっちゃかになって終わる。
消防署主催の前署長退任記念パーティーの準備からその顛末までを描くというストーリーだが、冒頭からレザボア的な意味のない会話を延々と繰り返す演出かな?と思ったら本題だったという。
去年85歳の誕生日の時にあげればよかったはずのプレゼントについての確認、置いてあったケーキがなくなる、コニャックがなくなる、パーティーの余興だったミス消防士候補者選びに気を取られすぎ…などどうもグダグダがつづく。
踊る大捜査線のスリーアミーゴス的なおじさん達が3人どころでなくウロウロしてるのでそれはそれで何とも微笑ましい感じはある。
ミス…とは程遠いルックスの娘たちもいるが何とか頭数をそろえ、候補者選びをしようとしたところで
「候補者の母ですが様子を見に来ました」
「……」
「おい、出ていかない気だぞ」
の流れは笑った。
ちなみにそのオバさんは写真真ん中のポニーテールの可愛い娘のお母さん。残念ながらそのカワイ子ちゃんの登場シーンはわずか。
直後、遅れてやってきた候補者の一人がいきなり脱ぎだし、全員若干引きながらも止めるわけでもなく眺めてるシーンは絵画『アレオパゴス会議のフリュネ』の引用?
ミス消防士が前署長にプレゼントを渡すというのがハイライトになる予定だったが、段取りミスの連発で登壇タイミングを何度も間違われ、極まりの悪い感じになってしまった前署長がかわいそう。
その日に決まったミスの候補者たちも怖気づいたのか恥ずかしくなったのか一人が逃げ出すとしまいにはみんな逃げ出す。
誰でもいいから担ぎ出せ!ってことでほとんど誘拐というか乱取りみたいになり、最終的にはミスの概念ってなんだっけっていうようなオバさんが一人ステージに立っていたのだった。
その後パーティーの最中火事が発生し、老夫婦が呆然と燃える家を眺めているといったエピソードが挿入される。
パーティー内の乱痴気騒ぎではなく、彼らの職務管轄である消火活動が失敗してかわいそうな老人の姿がフォーカスされる。
そしてまたパーティーは始まり、参加者たちは抽選の景品をその老人に寄付すると言い出す。
しかし景品はドタバタ騒ぎの中、ほとんどが盗まれていたのであった…。
ラストは夜が明け、家の中から救出され屋外に放置されたベッドにもぐりこむ老人の姿で終わる。
DVDにはリーフレットとチラシ付き。チェコ怪奇骨董幻想箱というラインナップになっているが、本作には怪奇や幻想の要素は無し。