シンプルメン(1992🇺🇸)
原題: SIMPLE MEN(1992、アメリカ、105分)
●脚本・監督:ハル・ハートリー
●出演:ロバート・ジョン・バーク、ビル・セイジ、カレン・サイラス、エリナ・レーヴェンソン、マーティン・ドノヴァン、ダミアン・ヤング
ハル・ハートリー監督の初期作品。相変わらず画面は薄暗い。
ビル(兄)とデニス(弟)という二人の兄弟が国防省に爆弾を仕掛けて捕まっていた元野球選手の父親が脱走したというニュースを聞いて彼に会いに行き、そこで二人の女性との奇妙な出会いをするというストーリー。
語り草になっている唐突なダンスシーン。
ゴダールの『はなればなれに』へのオマージュであるが、ソニック・ユースの"Kool Thing"を使ってあんなヘンテコなダンスシーン作るなんて、やはりこの監督の感性はすごい。
後はヨ・ラ・テンゴの"Some Kinda Fatigue"、 "Always Something"、 "Sleeping Pill"が使われている。
1992年作品ということで『May I Sing with Me』からの引用、つまり『Painful』以前の楽曲なので作風はまだささくれ立っているというか、金属質で乾いたノイズが映画の雰囲気に合っている。
ちなみにその『Painful』からの楽曲 "From A Motel 6"のMVはハル・ハートリーが監督している。演奏の準備やら髭剃りやらを長尺で映し、間奏のギターリフをちょっとだけ弾いたらまたあとはずっと楽器の片づけを映すだけの変な作品になっている。
作品の舞台もリンデンハーストだし過去のハートリー作品に出てきたようなキャラクターやシチュエーションが繰り返され、この辺のパラレル的作り方はなんとなくウォン・カーウァイっぽくもある。
ビルの周りには壊れた銃、壊れたバイクがあり、デニスは本や新聞やら電話帳を常に持ってたり見てたりしている。
ビルはケイト、デニスはエリナに恋をするが元旦那だったりすでに恋人がいたりと思うようにはいかない。
黒髪ボブのエリナ・レーヴェンソンは『レオン』のマチルダ大人版みたいで可愛い。
映画は「Don't move」で始まり、「Don't move」で終わる。