ミーン・マシーン(2001🇬🇧)
原題: MEAN MACHINE(2001、イギリス=アメリカ、99分)
●製作総指揮:ガイ・リッチー、アルバート・S・ラディ
●製作:マシュー・ヴォーン
●監督:バリー・スコルニック
●出演: ヴィニー・ジョーンズ、 ラルフ・ブラウン、デヴィッド・ヘミングス、 デイビッド・ケリー、ジョン・フォージハム、ヴァス・ブラックウッド、ジェイミー・サイブス、スティーヴン・ウォルターズ、ロビー・ギー、ダニー・ダイア、ジェイソン・ステイサム、ジェイソン・フレミング、 ジェフ・ベル、サリー・フィリップス、オミッド・ジャリリ
ユーロ2024開催に乗っかってヨーロッパ映画を観ていこうシリーズ。
『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』のスタッフ、俳優が集結しロバート・アルドリッチ監督の『ロンゲスト・ヤード』を英国が舞台ということでテーマをサッカーに翻案した作品。
アンブロのCMから始まるところがいかにもイングランド。
主演のヴィニー・ジョーンズが元イングランド代表キャプテンのスター選手だったが八百長疑惑により転落した人物ダニー(通称ミーン・マシーン)を演じている。
ダニーが刑務所に入れられるまでの過程は驚くほど簡略化されておりあっという間に映画の舞台は刑務所へ。
話は刑務所に行かないと始まらないんだから前段なんかとっとと省いて本題へ行った方がいいだろうというのはある意味合理的なキック&ラッシュ的イングランドフットボールのような構成。
“Sweeper”をポジションとしてのスイーパーと「掃除人」とで掛けていたりサッカー関連の台詞も当然たくさん出てきておもしろい。
そんな掃除人ドクとして出てくるのがデヴィッド・ケリー。
『チャーリーとチョコレート工場』のお爺ちゃん役の他、『ウェイクアップ!ネッド』や『グリーンフィンガーズ』などイギリスのコメディ映画でおなじみのお爺ちゃん俳優だ。
ジェイソン・ステイサムやジェイソン・フレミングと言った面々も登場。
映画は笑い所、泣き所、盛り上がり所をうまく入れながらサクサクと危なげなく展開。
囚人チーム対看守チームの試合を前に、審判にばれないようにギリギリのラフプレーを若造ビリーを相手に実演するシーンで普通に顔面エルボーされたり金玉蹴られたりしてるのに「泣き言いうな!男だろガンバレ!」ってダニーもなかなかひどい。
とにかくメインとなる囚人チーム対看守チームまでのイベントを予定調和的に無駄なくこなしていく(濡れ場ですら用意されている)ため、ダニーを始めとする囚人たちのバックグラウンドはほとんど描かれない。
ただ、なぜ八百長なんかやったんだとダニーが囚人仲間に問われるシーンがあり、そこでの「なぜだかプロになったとたんにファンの気持ちなど忘れる。思い出すのはコテンパンに負けた時だけ」という台詞がリアリティがあって印象に残った。
サポーターからしても勝った試合のうれしさはもちろんのこと、負けた試合の悔しさもとにかく記憶に残っているものだ。
そして「サッカーを始めたころは思いもしなかった。国を裏切るなんて」と続ける。
囚人対看守のサッカーの試合なんていう荒唐無稽な設定でも、ヴィニー・ジョーンズが元代表選手という役柄を演じているおかげで逆に説得力が付きすぎてもっと彼のキャラクターを深掘りしたほうが良いのでは…という方向にどうしても考えが行ってしまう。
まあでもその分あまり深刻になりすぎず気軽に観れて楽しかった。