アンビリーバブル・トゥルース(1989🇺🇸)
原題: THE UNBELIEVABLE TRUTH(1989、アメリカ、97分)
(別題『ニューヨーク・ラブストーリー』)
●脚本・製作・編集・監督:ハル・ハートリー
●出演:エイドリアン・シェリー、ロバート・バーク
刑務所帰りの男(ジョシュ)と、17歳の女の子(オードリー)との恋愛物語が始まるまでの前日談的にストーリーが展開されていたが、エンディングにおいてそれは世界の終わり直前であったと示される、ハッピーなのかアンハッピーなのかわからない映画。
ジョシュがまず街にやってきて眺めるのがジョージ・ワシントン像。
アメリカ建国の父、ワシントン像のカットから一気にオードリーの部屋の壁紙に描かれた1ドル紙幣を模したワシントンの顔にカメラは移る。
アメリカ合衆国の初代大統領、つまり国の始まりの象徴から始まり、世界の終わりで終わるという構成になっている。
ちなみに"Unbelievable Truth" とは主人公のオードリーの愛読書『The End of the World』という本に出てくる一節。
とにかくオードリーは世界の終わりが来ると思い込んでいる。
さて、ここで問題なのが本当にあのエンディングは世界の終わりを表現しているのかということ。
例えばオードリーの初登場シーンは何かが墜落したような轟音とともに彼女が目覚めるというような描かれ方をしてる。
その後もところどころ轟音のようなものが聞こえるが、他人に聞こえている様子はない。
頭の中に世界が終わる音が常に流れているというキャラクター設定としてのイントロダクションとなっている。
刑務所帰りの男と女の子、と聞いて設定的には『バッファロー' 66』を思い出したが、あっちは男(ヴィンセント・ギャロ)の妄想爆発映画であって、こちらは女の子の妄想が炸裂している。
ヴィンセント・ギャロとハル・ハートリーの影響というか関係性がどうだったのかは全くわからないのですが、どうなんでしょうね。
今では気軽に動画配信でも観られるが、DVDにはポストカードがついていた。