ドゥーム・ジェネレーション(1995🇺🇸)デジタルリマスター版
原題: THE DOOM GENERATION(1995、アメリカ=フランス、84分)
●監督:グレッグ・アラキ
●出演:ローズ・マッゴーワン、ジェームズ・デュバル、ジョナサン・シェック
機会があれば観たいなと頭の片隅で以前から思っていたグレッグ・アラキ監督の作品がなんとデジタルリマスター上映ということで、いざ鑑賞。
色んな前情報を先に入れなくとも、このサントラのメンツだけで実にオルタナティブな感性を持った人が作った映画なんだというのがわかる。( and moreにはライド"Leave Them All Behind"も含。使われてはないけどセリフの中でスミスについても言及あり。)
「A Heterosexual Movie by Gregg Araki(グレッグ・アラキによる異性愛映画)」というクレジットが表示されるが、わざわざ"異性愛映画"という言葉を使うことにより、同性愛映画である可能性も匂わせている。
「二人の男と一人の女」という過去の映画でも幾度となく描かれていたこの構図に、別方向の矢印を潜ませる目線が確かに存在することによる緊張感がこの映画のムードを独自の物にしている。
まず観て感じたこととしては、登場人物たちの周囲の風景が見えないほどのクローズアップショットが多いなという印象。
首から上とか、ミドルショットは時々あったと思うけどロングショットはほとんどなかったような気がする。
彼ら自身が周囲の事など顧みず、自分たちの事しか頭にないことを示唆している。
主役の一人にはローズ・マッゴーワン。
彼女は劇中、何度も別人に間違われる。
間違われるたびに命を狙われたり危険な目に遭ったりするが、それが何を表してるのかはちょっとわからなかった。
ユマ・サーマンとかエリナ・レーヴェンソンみたいに、この当時黒髪ボブがトレンドだったということは関係なさそう。
そして、ハンバーガーとか何かを買うたびに6ドル66セントを請求される。
666という悪魔の数字を表しているのは明白で、主人公たち3人がキリスト教的道徳と反する存在であることを表しているのだろう。
そういった暗示めいたショットだけでなく、生首や鮮血などの強烈でスタイリッシュな映像演出が続く。
途中、エイミーが犬を轢いてしまって泣きじゃくる場面があるがあれも何の意図があったのだろう。
最後の最後、当てのない逃避行を続ける3人の関係はネオナチと思われる男たちによって無残に壊されて終わる。
ネオナチの一つの側面としては同性愛嫌悪が挙げられる。そして彼らはアメリカ国旗を持っていた。
ここでは明確に意図するものが伝わってきたけど、真っ暗闇に光の点滅を多用した(冒頭、光感受性発作に対する警告が出る)凄まじいほどの過激な演出が非現実的なカタストロフィをこれでもかと強調していて、高温の光にうなされるような頭がクラクラする感じがした。