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2023/11/22 今日の書き散らし(旅行記)

 今日、飛行機で北海道を発った。行き先は羽田空港。
 フライトは約2時間。こんなに長く飛行機に乗っているのは久しぶりで、なんだか落ち着かないまま文庫本をめくっていた。

 通路を挟んだ隣の席には本物のギャルがいた。実物を見るのは初めてで、彼女が目を瞑っているのをいいことに、しげしげとその姿を眺めてしまった。
 長くボリュームのあるまつ毛。頭頂に近い部分でひとまとめにした、ピンクや水色の混じった長い髪。短いデニムパンツから伸びる生脚は、膝下から黒のロングブーツに包まれていた。
 その横顔を眺めながら、ギャルも1人でいるときは静かなんだな、と当たり前のことを考えてしまった。
 北海道ではギャルを見たことがない。だから多分、この人は東京の人なんだろう。
 東京の人。生まれも育ちも北海道の私からすると、その響きは特別な感じがした。

 そろそろ着陸態勢に入ろうかというとき、窓から東京の街並みが見えた。それは北海道に着陸するときに見える景色とはまったく違った。
 大きな川の両側を、灰色の建物がびっしりと埋め尽くしている。大きめの建物が出てきたかと思えば、さらに背の高いビル群が姿を現す。そこからはすごい勢いで背の高いビルがどんどん増えていく。
 これが東京。それ以外の言葉はなかった。

 羽田空港に到着したのは17時前。私の住む町は16時半には日没を迎えるが、ここはまだ薄明るい。
 空港内をぶらぶら見物した。久しぶりの羽田空港は信じられないくらい広く感じて歩き疲れたし、荷物は重いし、何より暑かった。暖房が効いているのか、人の熱で暖かいのか。

 ホテルに到着したのは19時ごろ。空港で食事をとってもよかったが、せっかくなので外で食べることにした。
 精いっぱい薄着をしてきたつもりだった。でも東京は想像以上に暖かくて、マフラーと手袋を持ってきたことを後悔した。
 カーディガン一枚で涼しいかな、というくらい。寒い、には到底辿り着かない。
 空気が生ぬるかった。今って11月だよな。それも下旬に差し掛かってるよな、と信じられない気持ちになる。体感は夏の終わり、または初秋というところだ。

 目当ての店に向け、川崎を歩く。車がようやく一台通れるくらいの細い道路。その脇にアパートや一軒家が軒を連ねている。
 目に映るものすべてが新鮮だった。明日は朝が早いので、じっくり街を見て歩けないのが残念だと思った。

Bセット(味噌) 驚きの880円!

 「ラーメン ミート」さんで夕食をとった。
 店内はカウンター席が7席ほどと、テーブル席が2席ほど。カウンター席の端には漫画本の棚がある。こぢんまりしていて、昔ながらのラーメン屋といった雰囲気だ。
 私が入ってちょうど満席になる。常連さんが集まっていたようで、店内は賑やかだった。隣の席の女性は、私の頭上にあるテレビを眺めながら「えぇ〜?」と時折声を出していた。みんな寛いだ雰囲気だった。
 こういうのを「アットホームな雰囲気」というのかもしれない。ここは川崎だけど、テレビで見た東京の居酒屋に近い感じがして、なんだか嬉しくなる。
 それにしても、ラーメンに餃子をつけて880円。あまりの安さに驚いてしまった。東京周辺は物価が高いイメージだったので、嬉しい誤算だった。

 ホテルに戻る。空港近くのホテルなので、外国人観光客と思しき人たちがたくさんいた。
 エレベーターを待っていると男性に声をかけられ、少し話をした。彼はインド人で、日本に住んでいるという。
 話しかけてもらえて嬉しかった。話をしたのはエレベーターを降りるまでのほんの少しの間だけだったが、それだけで胸があたたかくなった。
 あの一瞬だけで、私という存在が認められ尊重されたような気がした。ぶつかりおじさんは外国には存在しないかもしれないな、と思った。

 旅行1日目にして、すでにたくさんの刺激をもらっている。心がいきいきしているのを感じる。たまにはこういうのもいい。
 幸せだな、と思う。こういう幸せは知らなかった。
 明日は友人と箱根へ行く。空港から新宿までは1人で移動するので、少し不安だ。無事に辿り着けるよう祈っている。

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