よし

本と映画が好きです。ときどき創作もします。

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    短歌、短編小説など。 気の向くままに書いています。

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    読書と、本を読んで感じたことを書くのが好きです。本に関する記事をまとめました。

最近の記事

【54字小説】学校の怪談

 第13回 54字の文学賞に応募しました。テーマは学校。  受賞とはなりませんでしたが気に入っている作品です。

    • 【短歌】あの夏(8選)

       世の中はやかましいほどまぶしくて逃げ込むふとん私を見つけて  わかったとしか言えなくて文末に明るい絵文字つけてごまかす  絵に描いたように食われている葉っぱちゃんと歩いていこうと思った  なんてことない毎日に彩をシールで埋める手帳の空白  祭りのあと窓がひろった笑い声一人じゃないよな気がして夜更かし  生きるわけ今のところはひとつだけ明日13時のランチの約束  食堂のテーブル挟んで分けあった痛い悔しいよごれた気持ち  夏をまた生きた証は砂っぽい床と日焼けと虫刺

      • 【ショートショート】化けの皮(250字)

         職場の後輩、去年授かり婚で退職したんだよね。最近連絡してみたんだけど、赤ちゃん、だめだったみたい。  直前までエコーにもちゃんと写ってたんだって。でも、いざお腹開けてみたら、いなかったって。大量の血と、小さい骨があっただけ。……気味が悪いよね。  でもさ、その子、仕事より男漁りの方が熱心だったんだよね。職場でも相当色目使ってたみたいだし、正直誰の子かわかんないよね。旦那も子どももかわいそう……。だからさ、かえってよかったのかもね。  パスタを食べながらそう語る彼女の口元は

        • 夏の星々(140字小説コンテスト2024) に参加しました! 下記URLにてYoshiという名前で掲載していただいています(7/20)。 https://note.com/hoshi_boshi/n/n799443b9462b

        【54字小説】学校の怪談

        • 【短歌】あの夏(8選)

        • 【ショートショート】化けの皮(250字)

        • 夏の星々(140字小説コンテスト2024) に参加しました! 下記URLにてYoshiという名前で掲載していただいています(7/20)。 https://note.com/hoshi_boshi/n/n799443b9462b

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          【54字小説】猫かぶり

           初めて挑戦しました。たった54字でも物語になるものですね。

          【54字小説】猫かぶり

          【ショートショート】私のお姉さん(398字)

           小学二年生の夏休みのことだった。おばあちゃんの家に行くと知らないお姉さんがいた。お姉さんはおばあちゃんのお手伝いをするロボットらしい。私は遊び相手ができたと思って嬉しかった。  仲良くなりたくてお姉さんの似顔絵を描いてあげた。お姉さんは「とても上手ですね」と言ってくれたけど、続いて「ところでこれは何の絵ですか?」と聞いてきた。  お姉さんは子どもと接することに慣れていないみたいだった。でも、私にはそれがおもしろかった。  翌年の夏休みもおばあちゃんの家に行った。お姉さんに

          【ショートショート】私のお姉さん(398字)

          ひなた短編文学賞に応募しました〜 ドキドキ… https://restitch.jp/pages/hinatabungakusho

          ひなた短編文学賞に応募しました〜 ドキドキ… https://restitch.jp/pages/hinatabungakusho

          【ショートショート】君に届かない(761字) #青ブラ文学部

           仕事帰り、スーパーに寄った。買い物を済ませて外に出ると日が傾き始めていた。買い物袋を片手に坂道を下りながら、空はどんどん色を変えていく。  向こうから女の子が歩いてきた。黒のボブヘア。膝丈のスカート。グレーのブレザーで近所の高校の子だとわかる。  俯きがちにとぼとぼと歩くその子。やれやれとゆっくり歩く私。やがて私たちはすれ違った。  その時、私はふとあの心もとなさを思い出したのだった。  あのくらいの年齢のとき、私は尖っていて、愚かで、そしてぼろぼろだった。そんな風でいるの

          【ショートショート】君に届かない(761字) #青ブラ文学部

          【ショートショート】夜明け(524字)

           その国はとても寒かった。  特に気温の低い北の最果ては一年中氷と雪に覆われていた。その場所には誰も寄りつかず長い間ほったらかしにされていた。  ある時、一人の女が息を引き取った。突然のことだった。夫はただ呆然としていた。  ふと、彼はあの凍てつく大地のことを思い出した。彼は妻の亡骸をその場所へ連れていった。  青い棺の中、たくさんの花とともに彼女は凍った。魂は失われても彼女の体はそこにあり続けた。  男は来る日も来る日もその場所を訪れた。妻の髪や頬を撫ぜ、すっかり硬くな

          【ショートショート】夜明け(524字)

          【ショートショート】呪い屋(463字)

           いらっしゃい。今日は何をお探しで?  ……そうだよ。うちは呪い屋。ここにあるのは呪いだけさ。  ……それは『自販機の下に小銭を落とす呪い』だよ。  しょうもないだろう。金で買える呪いには限度があるのさ。  人を呪わば穴二つ。強い呪いを望むなら、もっと大事なものを差し出さなきゃならん。  大事なものは目に見えない。目に見えないもので飯は食えない。だから金で買える呪いしかうちには置いちゃいないよ。  ……もっと強い呪いかい? そこに『公共交通機関にギリギリ間に合わない呪い』があ

          【ショートショート】呪い屋(463字)

          【虎に翼】寅子とよね

           年度替わり。職場が変わり生活リズムも変化した。そのおかげで連続テレビ小説が見られるようになった。  そして、この春スタートした「虎に翼」の沼にまんまとハマってしまった。今では毎日の楽しみになっている。 あらすじ  舞台は昭和6年の東京。女学校に通う猪爪寅子(ともこ)は両親にお見合いを勧められる日々を過ごしていた。女学校を出たら結婚し、子供を産み、家庭を守るのが当然という時代だった。しかし、寅子は納得できずにいた。  ある日、下宿人・優三に弁当を届けるため寅子は大学へと向

          【虎に翼】寅子とよね

          【短編小説】胡蝶の夢

           会社を出るといつも通り外は真っ暗だった。その暗さに、のしかかった疲労がずしりと重みを増す。ああ、疲れた。体を引きずるようにして駅の方向へ向かった。  駅前といえども平日の夜は人の往来が少ない。それは、大抵の人はとうに仕事を終えて帰宅しているということだ。胸にしまい込んだつまらない気持ちが顔を出す。  夜道を店の明かりが照らしている。上半分がガラス張りになった引き戸から居酒屋の店内が見えた。カウンターに定員ぴったりの客が肩を並べて談笑している。歩道側に座った女の人と一瞬目が合

          【短編小説】胡蝶の夢

          今年見た映画 2023

           今年見た映画は、覚えている限り以下の通り。 〈ホラー〉  ・真実の穴  ・呪詛  ・リング  ・リング2  ・呪怨  ・呪怨2  ・きさらぎ駅  ・返校 〈サスペンス〉  ・ザリガニが鳴くところ  ・グッド・ナース  ・母性 〈ノンフィクション〉  ・SHE SAID  ・マイ・ニューヨーク・ダイアリー 〈ドキュメンタリー〉  ・ミス・アメリカーナ 〈ヒューマンドラマ〉  ・マイ・プライベート・アイダホ  ・神は見返りを求める  ・メタモルフォーゼの縁側  ・ミッ

          今年見た映画 2023

          2023/12/22 今日の書き散らし(フリーレン)

           最近、アニメ「葬送のフリーレン」を細々と追っている。  私は絵画教室に通っていて、先生が作画を絶賛していたので、なんとなく見てみる気になったのだった。 あらすじ  十年にも及ぶ冒険の末、勇者ヒンメル一行が魔王を倒したところから物語は始まる。勇者たちは役目を果たし、それぞれの人生に戻っていく。  主人公はエルフの魔法使い・フリーレン。エルフは数千年も生きる種族で、十年の冒険は彼女にとってほんの短い間に過ぎなかった。  それから何十年もの歳月が流れ、かつての英雄・ヒンメルは

          2023/12/22 今日の書き散らし(フリーレン)

          2023/11/29 今日の書き散らし(旅行記)

           旅行が終わり、北海道へ戻った。  私は旅行が苦手だった。  小さいころから、道外に出るような旅行はほとんどしたことがなかった。多分、飛行機に乗るのは中学の修学旅行が初めて。それが歳を重ねて、自分で自由にどこにでも行けるようになった。でも、何せ旅行慣れしていないものだからわからないことが多くて、それが不快だった。  私は興味の幅が狭くて、行ってみたい場所を聞かれてもぱっと答えられないくらいには無知だ。どこに何があるか全然わからない。旅行に行くとなれば目的地を決めなければい

          2023/11/29 今日の書き散らし(旅行記)

          2023/11/22 今日の書き散らし(旅行記)

           今日、飛行機で北海道を発った。行き先は羽田空港。  フライトは約2時間。こんなに長く飛行機に乗っているのは久しぶりで、なんだか落ち着かないまま文庫本をめくっていた。  通路を挟んだ隣の席には本物のギャルがいた。実物を見るのは初めてで、彼女が目を瞑っているのをいいことに、しげしげとその姿を眺めてしまった。  長くボリュームのあるまつ毛。頭頂に近い部分でひとまとめにした、ピンクや水色の混じった長い髪。短いデニムパンツから伸びる生脚は、膝下から黒のロングブーツに包まれていた。

          2023/11/22 今日の書き散らし(旅行記)