整骨院から逃げ出した話
突然だが、腰が痛い。
昨年夏に激痛が走って、何故か心療内科の医師から「ヘルニアだねー」となんちゃって診断を受けたBABAR。
整形外科に怖くて行けず、腰痛ストレッチアプリでなんとなく誤魔化していたら、だいぶ調子が良くなっていた。
だが、ここ1週間ほど痛い。
昨年の電撃ほどではないが、すごく痛い。
脚の痺れも酷い。
歩けない程じゃないが辛い。
立っても座っても辛いが、寝てる時が一番辛い。
朝はうめきながら体を起こし、長女に湿布を貼ってもらい、ロキソニンを飲む。
整形外科が嫌いだ。
っつうか心療内科以外の病院が全部嫌いだ。
アレコレ検査して何の異常も見つからなかった時に、あからさまに「詐病かたってんじゃねぇよ」的な態度をするお医者や、憐れみの目で見てくるお医者。
原因がストレスなのはわかってるんだ!
他の病気じゃないかを診てくれたら、後は症状を抑える薬だけ出してくれれば良いんだ!
憐れみも慰めもいらないし、でかい溜め息と気休めにもならないビタミン剤の大量処方なんて望んでないんだ!
なぜ、事務的に淡々とこなしてくれないんだ!
整形外科になると、さらに身体に触られるじゃないか。
いやだ。握手も嫌いだし、美容院も嫌い。
娘以外の人に触られるの苦手だ。
そんな拗らせBABARが腰の痛みに耐えかねて選んだのが整骨院だった。
整骨院なら原因が病気だろうが怪我だろうがストレスだろうが、背骨が曲がってたり筋肉が凝り固まっていればそれに対処してくれる。
薬の処方されないから抗うつ剤飲んでるって言わなくて済むし。
Googleで検索して口コミの良さそうな所を見つけて予約。
2駅先だけど、近所の整骨院はいつもビラ配りで外に立ってるのが気まずい。
整骨院………めっちゃ触られる……。
怖い😱😱😱😱!
でも、同じ触られるなら病院特有のメンタルダメージを負わずに済む分なんとか我慢できる!
ーーたぶん………
んが、
整骨院のドアを入った瞬間。
「こぉんにちわぁぁぁぁ!!」×5
大声でのお出迎えヤマビコが響く。
待合室と施術室と受付が全てワンフロア。
待合で座っていた2人組と親しげに話しながら受付してくれるお姉さん。
デカい声で大笑いしながらの常連とのおしゃべりに、スタッフ一同が興じている空間。
圧倒的な『一見さん=空気』な下町居酒屋感。
やばい。苦手なやつだ。
ここで空気扱いのままも嫌だが、グイグイ引き込まれてももっと嫌だ。
しかもワンフロアって!
施術台丸見えじゃん!
この整骨院にいる全員が、私が場に馴染めずしどろもどろで受け応えしながら揉みしだかれている様子を見ているって事じゃん!
無理無理無理無理!
人に触られるのも嫌だが、衆人環境で触られるのを必死で我慢するのはもっと嫌だ。
だから美容院だって完全予約制の1対1サロンに行ってるんだ。
「あの……キャンセルでも良いですか?その……オープンな雰囲気にがてで……」
受付のお姉さんと院長っぽい人の不穏な表情を背に、逃げるようにって言うか逃げた。
うっかり傘立てに傘を忘れてしまった事に、ドアを出てすぐ気付いたが諦めた。
諦めて向かいの雑貨屋で傘買った。
何しに来たんだ?
2駅電車に乗って。
雨の中。
情けなや……。
アプリのストレッチがんばろ……