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え?誰?#2
彼女は座り込んで話すばかりでプレイをする気配を全く見せません。
それでも音楽の話をしたりして会話は盛り上がりました。徐々に打ち解けてきて彼女も警戒心がなくなったのか、やっと「もうシャワー浴びたのかな?」と聞かれました。
遅い時間だったのでシャワーは入った後でした。電話で予約をしてから僕はきちんと服を着て待っていました。
「もう浴びた後だよ」と伝えると彼女は服を脱ぎ始めました。でも僕は服を着たままそれを眺めていました。
「華奢にみえるけど脱いだらすごいのかも...」
服を脱いだ彼女の身体をみて僕は驚いてしまいました。
病的に痩せているわけではないのですがスリムでした。そして胸はふくらみがほとんどなく、つるぺたです。いわゆる幼児体形です。
「中学生...いや小学生...」
本当に小学生なのではないかと思うほど華奢な身体でした。
この時、本日2度目の「えっ?誰?」でした。
僕はこの時点で怖くなりました。淫行条例にふれるのではないかと思い始めていました。もうイヤラシイ気分は皆無です。
僕は服を脱ぎませんでした。「触る?」といわれたので断るのもおかしいのかと思い少し胸に触れましたが、それだけで罪悪感がいっぱいです。
ちなみに僕はロリコン指数はゼロです。
「悪いことしてるような気分がしちゃう」
そう言って触るのをやめた僕を見て彼女は不思議そうにしていましたが、裸のままベットに寝転び、僕は椅子に腰掛けて会話を続けました。
彼女はその後も楽しそうに話を続けてくれました。すごく美人ですし、贅肉が全くなく綺麗な身体でした。でも大人の女性を感じる部分が全くありませんでした。
僕は美人局的な可能性も考えて、最大限警戒しながらも、自然に振る舞いました。
「そろそろ時間じゃない?」
こちらからそう伝えると彼女は服を着て、帰り支度をしました。
「何か紙と書くものない?」
と聞かれました。仕事用のメモ帳を破ってペンと一緒に渡しました。
「お兄さんすごくいい人だね。これ携帯の番号」
断る理由はなかったので受け取りました。どうやら僕に悪い印象は抱いていなかったようでした。そして彼女は帰って行きました。
あとになって気づいたことですが、普通は女の子が持ってくる仕事用の道具が入ったカバンは持ってきていませんでした。手ぶらです。
結果的に何もトラブルはありませんでしたが、こんなに疑ったまま時間が過ぎたことは、その後もありません。
僕は考えすぎだったのかもしれません。
ちょっと変わっているけれども綺麗な普通の女の子だったのかもしれません。
彼女が帰ったあとに、もう一度サイトで確認してみました。やはり写真やプロフィールとは別人でした。
「えっ?誰だったんだ?」
思わず独り言を呟いてしまいました。
持ち帰ったものの、残された電話番号にかける勇気は持ち合わせていませんでした。