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嬢をめぐる冒険(N#22-5)
彼女は僕がどんな仕事をしているか想像できなかったようだった。
そして僕の年齢の話になった。「いくつに見える?」僕は聞いてみた。「37歳」とNちゃんは言った。
言われたのはお世辞というにはちょっと無理のある年齢と思った。
髪は明るく染めているし実年齢よりも若くは見られる。しかも、1月は忙しくて、明日は朝雪かきをしなければならなくて、年齢不詳な37歳くらいの男性。何の仕事をしているのかも想像がつかない得体の知れない人間に見えたようだった。
「女の人はいる感じがするんですよ」女の人ってどういう意味だろうと考えていた。結婚という言い方をされなかったので不思議だった。地に足が付いている落ち着いた人間に見えないということだろうか。
そして実年齢を伝えた。
「あと2ヶ月で〇〇歳になるよ」
そうは見えないと驚いていた。
そして僕は職業を告げた。個人で事業所を構えてやっていることを話した。「それじゃ誰かやってくれるわけではないから、雪かきは自分でやらなきゃいけないですよね」その通りだった。
「普通の週末はクラブやライブハウスにいるんだよ」
普通は僕は名前と同様に自分語りは基本的にはしない。聞かれたら答えることもあるが確実に人を選ぶ。
しかし、彼女を見ていて、つい話してしまった。
彼女の反応は面白かった。驚いてはいるのだが、嘘をついているとも言わずに、ただ拍子抜けしているようだった。「頭がバグる」そう言っていた。
「でもお仕事も遊びも違和感ないです」
彼女はすべて合点がいったようで納得していた。
お互いそうだったのかもしれないが、ちゃんと会話ができる人間ということが確認できると距離は縮まっていった。