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嬢をめぐる冒険(N#24-1)

 

 彼女と過ごすのは3回目だった。この短い期間に3回とは自分にも初めてのことだった。

店の決まりなのか、業界のルールなのかはわからないが、とにかく部屋に迎え入れるとすぐに会計が普通の流れである。

 3回目だからだろうか、その日はしばらく普通に会話していた。急に思い出したように「あ!お会計は〜円になります」と言った。そして僕は財布を取り出しお金を支払った。

彼女は仕事としての意識が強いのだろう。いままでもそのような嬢に出会ったことはあった。出会った中ではサービス内外の時間の線引きが一番明確だった。

この線引きは時に接客時にはマイナスになることもあるだろう。時間内は過剰とも思える濃厚なサービスを受けられるのだが、時間が終わると身体には一切さわらせなかった。

彼女のサービスは洗体から何もかもが違っていた。キスNGの嬢もいる中でキスもすごく上手かった。そして身体中に舌を這わせる。

 オンとオフがはっきりしているのだ。まさに時計仕掛けだった。

その日は渡したいものがあって持っていった。彼女が日記に書いていたことだったのだが肘の乾燥がひどくて困ってるようだった。

トークで「ひじは痛いくらいカサカサ?」と聞いてみた。「擦れると痛いです」と返信がきた。

把握しているだけでも14連勤していた。そしてエリアのランカーになっていた。忙しくしているようだった。

彼女の仕事が忙しければ忙しいほど入浴の回数が増えていってしまうはずだ。若いとはいえ、慣れない寒い土地での生活でだから、それは肌も乾燥して荒れるかもしれない。

肌の乾燥の対策については知識があった。そこでもう1度会いにいくことにした。

会計のあとに肌の対策の話をした。

「連勤で入浴機会が多いから肌が乾燥しているんじゃない?」
「今までもこういう働き方したけどこんなことになったことはないです」「加えて気温が低いからだと思うよ」
「やはりそれかー」

スプレータイプの温泉水ベースの化粧水とワセリン、そしてサランラップを渡した。

「仕事が終わったら、温泉水でよく保湿してそのあとにワセリンを塗る。ワセリンは水分が飛ぶのを防いでくれる。さらにサランラップを巻いて水分が飛ぶのをさらに抑える。害の少なそうなものばかりだけど肌に合わなかったやめてね」

「今日からやってみます!」そこからはいつものペースの接客が始まった。「肘痛かったら無理しなくて良いよ」と言ったのに入念に洗体してくれた。

そのあとのベットでも「まだこれはやってないね」と言って体位を変えたプレイをしてくれた。とにかくプレイ中の彼女はプロだった。


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