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【詩】いちりんの花

       ふと

      僕のまなこに映る
      いちりんの花…


        その
       花びらに
       貴女あなた

       想う…


      たおやかな
       仕草に…


      はにかむような
       眼差しに…


       薄桃色うすももいろ

       清らかな少女…



       貴女あなた
      その眼差しは


       まるで
      天使のようで


       僕は
      ため息をつきながら
      見つめていた…




       そんな
       ゆらめいた
       日々の
       幻のような


       束の間の
        儚い
       恋の想い出…



        ふたりして
        見た
       まほろばは

      散ってしまったけれど…



       こころに残る
       薄桃色うすももいろの薔薇の
         かほり…


        あれから
       貴女あなた
       どうしているのか…
        と…


        そっと
        覗いた
        貴女あなたの家…


       電話をしても
       貴女あなた
       出なくて…



       受話器を置いた…



       ほろほろ
       悲しさが
        い出…


       ゆらゆら
     
       彷徨さまよった…



        きっと
        今なら


       貴女をしあわせに
       出来ただろうに
        と…


       僕がまだ
     
       少年だったから…


       子供だったから…

        そんな
        戯言たわごと
        呟いた…


        もし
        僕が大人でも


        貴女あなたを守れたのか
        と… 


        反芻しながら


        夜空を
        見つめた…



        そんな夜も
        いくつか過ぎて


        今
        痛みを伴いながら

        懐かしい
        色音いろね
        まとうよ…


        僕の
       しあわせだった
        一瞬とき



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