『天井』
職場での間食用にとっておいたクラッカーを取り出すと、開ける前からその手触りで中で粉々に砕けてしまっているのが分かった。こぼさぬように慎重に開封し、欠片を拾い上げて慎ましく食べていく。最後に粉状にまで砕けたものをトントンと包装の隅に集め、一気に流し込む。
「あ」
ここの天井を初めて見たことに気付いた。こんなに高く、配管や躯体が剥き出しだったのか。
ずっと下ばかり向いて過ごしていたのだなという事実と、それ以上に上を向いた理由の侘しさに、天井を眺めつづける。
職場での間食用にとっておいたクラッカーを取り出すと、開ける前からその手触りで中で粉々に砕けてしまっているのが分かった。こぼさぬように慎重に開封し、欠片を拾い上げて慎ましく食べていく。最後に粉状にまで砕けたものをトントンと包装の隅に集め、一気に流し込む。
「あ」
ここの天井を初めて見たことに気付いた。こんなに高く、配管や躯体が剥き出しだったのか。
ずっと下ばかり向いて過ごしていたのだなという事実と、それ以上に上を向いた理由の侘しさに、天井を眺めつづける。