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立 ち 上 が れ 滉 燿 くん ! ~明日を信じた5年間~9(3)滉燿くん凄くない!?


立ち上がれ滉燿くん ! ~明日を信じた5年間~ 9(2)研究(公開)授業の本番へはこちら


研究(公開)授業で、学校の先生達に凄い(笑)ところを見せた滉燿くん。次なる凄いは何でしょうか?
         
4年生3学期(2007年  H19年)


52   ジグソーパズルに挑戦

 研究授業業が終わりました。
 2月に入って直ぐに、取っ手のある嵌め絵パズルの次の段階として、ジグソーパズルを始めました。ピースの数が少なくて尚且つ、滉燿くんが好きそうな絵が描いてあるジグソーパズルを探しました。お母さんと相談して、12ピースの機関車トーマスのジグソーパズルを買ってきてもらいました。
 いきなり全部バラバラから始めるのは難しいので、トーマスやパーシー、ヘンリーなどキャラクターの7つのピースだけを外した段階から始めます。
 最初は、どこに入れたらいいのか分からずに時間がかかります。
「そこは違うよ、こっちだよ」
 違う場所に置こうとする時にいちいち教えていましたが、次第に教える回数が減っていきました。滉燿くんはピースを持ち上げると、迷うことなく正しい場所に持っていく事が出来るようになったのです。私の補助は、ピースを穴にはめ込む時の方向を少し整えてやる事だけになりました。
 キャラクターのピースを入れる事が出来るようになったので、それ以外の部分 (地の部分?)も外してやってみるようにしました。
 これは、キャラクターの部分をはめ込んでおいて、その隙間のピースを入れていくことから始めます。滉燿くんは絵が描いていないピースは、はじめは見分けにくかったようですが、キャラクターと同じ様に、どの部分のピースかを段々と覚えていきました。


 こんな練習を繰り返しながら、いつの間にか3月になっていました。学校は卒業式へ向けての準備一色になり始めます。各学年では6年生を送る会の練習が始まりました。廊下の壁には、「卒業おめでとう」の文字飾りが目を引くようになり始めました。5・6年生合同で体育館の中での卒業式の練習が始まりました。

 そんな中で、教室で私が滉燿くんと向かい合ってジグソーパズルをやっている時でした。滉燿くんは半分ほどジグソーパズルを作り上げていました。
「先生ーお手紙です」
 突然、4の2の子どもが一人、元気に保護者に渡すお手紙を持って来てくれました。
 中身を確認してみると、おや、変です。滉燿くんが出来るはずのない算数のプリントが入っています。私はインターホンを西本先生にかけました。
「算数のプリントが入っているんですが・・・」
「そりゃー間違いです。はっはっはっ」
 受話器の向こうで、西本先生は大声の笑い。直ぐに代わりのプリントを持たせるという事なので、戸口に立って、正しいプリントが来るのを待つ事にしました。
 しばらくして、パタパタと足音がして女の子がやって来て来ました。
「せんせー、これです」
 封筒をトンと差し出してくれます。
「ありがとう」
 ゆっくり席に戻る途中に、封筒を開けてプリントを取り出すと、書かれている字を見ながら滉燿くんの机の前に戻りました。
「うん?」
 ジグソーパズルが全部埋まって平らになっているではないですか!滉燿くんは、私の力を借りることなく自分一人で完成させていたのです!
「滉燿くん、もう一度やってくれる?」
 突っ立ったま、声をかけました。私は椅子に座り直すと、ピースを全部バラバラに外しました。
「手を出さずに見ていよう」
 手を出したくなるところを我慢しました。
 滉燿くんは何度もピースの上に手を載せて軽く叩いたり、指3本くらいを載せて、左右に軽く回しながら、ピースを穴に合わせながらピースをはめ込んでいきます。時には、逆さまになっているピースを両手でクルクルと回して、正しい方向に向けてから、穴に置いているのです。複雑な形になっている地の部分も、しばらく眺めてから、両手で向きを整えて正しい位置にはめ込んでいました。
 きっと、滉燿くんなりに自分の記憶と照らし合わせて判断しながらやっているに違い有りません(凄い!!)。嵌め絵パズルの時にも見せていた姿ですが、正しい向きが分かりやすいキャラクターのピースならともかく、地の部分(背景)のピースでもやって見せたのです。
 これまで身体の動きにばかり目が行っていましたが、知的な面も確実に進歩している証拠でしょう。子どもの成長は凄いっす!(笑)



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