〈詩〉ある朝突然
ある朝突然 冬がいなくなった
昨日までと全然違う
ぬるい空気
霞んだ空
昨日までの
冬の朝はどこに消えた?
暁の空に浮かび出される
鮮やかな山の稜線
凛と冷えた朝の空気
夜明け前の白い月
枯色の田圃で
キラキラ輝く霜柱
どれもこれも
今朝目覚めたら
みんな消えてしまっていた
あんなに疎んだ冬なのに
あんなに焦がれた春なのに
もう少しゆっくり別れを告げたかったと
気まぐれな心が呟く
過ぎた季節を
もうすでに懐かしがっている
こうして
ある朝突然 景色は変わる
ガラッと変わる
全ては そんな風に 巡るのだな