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「徳島を体験型ブランドに―上杉拓哉が描く地方創生の未来図」

上杉拓哉の物語(続き)

「徳島を世界に誇れるブランドにする。」

その目標に向かって、僕はプロジェクトを本格的に動かし始めた。地元企業や自治体を巻き込み、「徳島ブランド戦略会議」を立ち上げたことで、地域全体が一つの方向に向かうための基盤ができつつあった。

しかし、現実は簡単ではない。新しい試みには常に壁がある。徳島でのプロジェクトが本格化するにつれ、次々と課題が浮き彫りになってきた。

立ちはだかる課題――徳島ブランドの壁

1. 地元企業との認識のギャップ

ブランド戦略の重要性を地元の中小企業に伝えることが難しかった。「今さらブランド化して何になるのか?」という声が根強く、短期的な利益を求める傾向が強かった。

2. リソース不足

徳島の中小企業は規模が小さく、リソースが限られている。良い商品やサービスがあっても、それを広めるためのマーケティング予算や人材が不足していた。

3. 若い世代の関心の低さ

地元に残る若い世代は少なく、地域ブランド化への関心や意欲を引き出すのが難しかった。「地方なんて古臭い」というイメージが根強く、徳島そのものの魅力を若い人たちに伝える工夫が必要だった。

新たなアイデア――徳島を「体験型ブランド」にする

課題に直面する中で、僕は一つの方向性を明確にした。ただ物を売るだけではなく、徳島そのものを「体験型ブランド」にすることだ。人々が徳島でしかできない体験を通じて、ブランド価値を感じる仕組みを作る。

具体的な施策
1. 「徳島体験パスポート」の導入
徳島を訪れる観光客が、地域の文化、自然、グルメを楽しめるように、特別な体験を詰め込んだ「パスポート」を発行する。例えば、阿波踊りの体験、地元の特産品を使った料理教室、神楽の鑑賞といった内容をパッケージ化。
2. デジタルツールの活用
パスポート利用者の体験をSNSでシェアするキャンペーンを実施。インフルエンサーを活用して、徳島での体験を国内外に広める仕組みを作る。
3. 地域住民を「ブランド大使」にする
地元の住民を巻き込み、観光客との交流を促進する。たとえば、地元の農家が観光客に農業体験を提供したり、工芸品の職人がワークショップを開くことで、徳島の人々そのものがブランドの一部になるように設計する。
4. 地域全体の連携強化
「徳島全体が一つのテーマパークになる」というコンセプトを掲げ、地域内の企業や施設が一体となって観光客を迎える体制を構築。小規模なイベントやフェスティバルを定期的に開催し、訪れるたびに新しい体験ができるようにする。

挑戦を続ける中での転機

そんな中、松本沙織さんが「ヨーロッパの地方都市で成功したモデルを徳島に適用できるかもしれない」と提案してくれた。彼女のネットワークを活用し、イタリアの地方都市と徳島を繋ぐ試みを始めることになった。具体的には、徳島の特産品をイタリア市場に持ち込み、現地の展示会で発表するプロジェクトだった。

「徳島から世界へ」――このプロジェクトが実現すれば、徳島ブランドの価値は一気に高まるはずだ。

次の一歩へ

地域の課題に向き合いながら、少しずつ徳島ブランドの基盤が整い始めた。しかし、このプロジェクトの成功には、まだ多くの壁がある。

「徳島を世界のブランドにする」――その挑戦はまだ始まったばかりだ。僕は再び、自分自身と向き合いながら、新たな道を切り拓いていく。

次回:徳島ブランドが海外市場で注目を集める中、新たなパートナーとの出会いが上杉拓哉の挑戦をさらに広げていく――その予期せぬ展開とは?

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