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『マラソンマン』から学ぶコンプライアンスの意味と意義って話

先日ちょっと別件でマンガを探し求めて古書店巡りをしてたら、本当にたまたま『マラソンマン』を見つけて、懐かしさのあまり買ってしまって先日読み返してたんですね。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%B3%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%89-%E9%80%B1%E5%88%8A%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E4%BA%95%E4%B8%8A%E6%AD%A3%E6%B2%BB-ebook/dp/B00ARAGOPI/ref=sr_1_2?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=3BHJ3M18C74V0&dchild=1&keywords=%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%B3+%E5%85%A8%E5%B7%BB&qid=1601114508&sprefix=marasonnmann+%2Cdigital-text%2C264&sr=8-2


で、先に『マラソンマン』のお話をしておくと
本作は『週刊少年マガジン』誌上で1993年から1997年まで連載された井上正浩センセイによる連載作品で三部構成になってるその名の通り“マラソン”が作品モチーフになっている作品。

かつて日本の陸上競技界で活躍した高木勝馬、しかし今では見る影もなく落ちぶれ荒れ果てた生活を送っていた。
第1部はそんな彼が(陸上選手としては)高齢と言われる中息子の一馬のために立ち直りカムバックを果たしていく姿を描いている。
第2部以降は息子の一馬が成長して長距離ランナーとして成長しやがてかつての父親のように陸上競技として表舞台で上り詰めていく様を描いている。
第3部では後述する悲劇を乗り越え第1部の父 勝馬がかつてそうだったようにカムバックを果たしついにマラソン選手としての最高峰を目指していく。

というのが本作のあらすじですが、この作品感動作品ではあるし、いわゆる感動作品にありがちな
“泣かせポイント”のテンプレートみたいなのがエピソード毎に散りばめられてます。
それは今の世の中では『コンプライアンス』に抵触しそうなお話も結構多くてそう考えるとなんでもかんでも『コンプライアンス』を盾に批判するのも考えものだなと考えるようになりましたね。

大事な人死にすぎ問題

この物語第1部の終わり方が結構不自然な感じで
前述の通り第1部では主人公は高木勝馬というオッサンが主人公でその息子の一馬は父親のサポートをする役回りでした。
その一馬や周りの人達のサポートもあり、生活も立ち直り、マラソン選手としても奇跡と呼ばれるほどの復活を成しえます。そんな中これも割と唐突な感じである黒人ランナーが登場します。
その名は“マモ・ベライン”が登場します。

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(マンガあるあるこういう伏兵が実は強敵の際にちゃんと最初顔描かれない)


このマモ自身もヘビーな過去を持っており作中全編を通しての超えるべき壁、ラスボスとして君臨します、なんですがこのマモ自体の競技シーンは殆どと言っていいほど描かれません。

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(貧困国の貧困の家に産まれ母親の再婚相手を撲殺し懲役していたが戦争に駆り出され沢山相手を殺してきたという作中屈指のヘビーな過去を背負うが故に金に異常な執着を示すマモ・ベラインさん)


ただ作中では圧倒的な強さを誇り、15年間の間マラソンレースでは負け無し、オリンピック2連覇という偉業を成し遂げたりしています。

で、ですねこのマモが登場をしていよいよ勝馬と勝負をするレースが、さぁ!いざ!描かれる……

と思い期待も最高潮に高なりスタートをした次のページで時間が大幅に経過しここから息子の一馬の物語にシフトします。

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父親の最後のレースを厳しい顔で見返す高木一馬。
この世界選手権にて父勝馬は後一歩の所までマモを追い詰めるもののゴール直前で心不全を起こして亡くなってしまいます。
その悲しみから一馬は陸上ではなく、水泳をはじめ頭角を表していましたが大学進学を機に陸上選手としての道を歩み始めます。
更にこの第2部の後半ではヒロシという男性と友人になり絆を深めていきますがこのヒロシはとある事件の真犯人によって殺されてしまいます。

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(在りし日のヒロシ)

このヒロシの死をキッカケに一馬は表舞台から姿を消すところで第2部は終わりを迎えます。

20歳そこらで自分の身内が二人も亡くなってしまうという不幸に見舞われれば流石にマラソンから遠ざかるのも仕方ないと思いますがそこを

『こいつ、精神的にも成長したんだな』

みたいな感じで済まされるのがこの作品の強みです。
他にもラスボス・マモも母親の再婚相手を撲殺したりその後戦場に駆り出されて最初に殺したのが少年兵だったりと結構この作品物語に“泣きポイント”を作るために人が死にます。

悲劇テンプレートの先駆けなのか?

他にも第1部から継続して登場していたヒロインの同級生はちょこちょこたまに思い出したよあに出てきて恋愛要因みたいなエピソードをしてたと思ったらあとから出てきたJCにその座を奪われ、挙句の果てに大学生の時に親の事業が失敗し倒産した挙句借金をした相手が悪徳ヤクザの金融屋だったためウリ紛いのことをやらされ助けに来た一馬の足を潰される直前まで追い込ませてしまいます(ちなみに元金10万円のお話)
そしてそれを助けに来たのは一馬が働いているバーのオカマのマスター彼は元ヤクザの若頭。
もうベッタベタです。

これくらいベタベタのお涙頂戴物語は近年なかなかお目にかかれませんし表現に厳しいコンプライアンスがある世の中では少年誌でなかなかここまで描けません。近年では子どもに悪いなんてよく言いますがこの頃はもっと酷いです。

コンプライアンスはなにかと悪者にされがちですがこの頃と比べてみると全部が全部ネガティブに捕えなくても良いかもねと思います。

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