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yogee new wavesは俺の前髪を分けた

2010年代後半、サブカルの意味も知らないyouth自称サブカル男子達は、こぞってみんなマッシュヘアーで、その彼女といえば黒髪ボブ、それがもうテンプレであった。

一眼レフを首からぶら下げ、好きな音楽は邦ロック。
これにもタイプがいて

シャンペ型
クリープ型
銀杏型
カナブン型

などがある、これはかなり個人的見解だ。それは聞く音楽によってメンタル面や、コミュ力、思想そういうものが違っていた。ように思えた。

当時20歳だった俺はクリープ型の人種だった。
もちろん髪型はマッシュヘアーで、丸メガネにジャックパーセルだった。

今ではメジャーなアーティストになったクリープハイプ。
当時の楽曲は、メンヘラ男そのもの、そしてそのメンヘラな自分を嫌がっているようでいて、結局自分に酔ってる感。
それが好きだというから、当時の俺がどういう精神面で日々を過ごしていたかは想像できるだろう。

ただそんな邦ロックをこよなく愛した俺は高校生から続けていたマッシュヘアーを卒業することになる。


climax night , climax mush

ある日の深夜、夜ふかし、YouTubeを開いた。
あなたにおすすめ、これは時にして人を変える。

Yogee New Waves/CLIMAX NIGHT(Super Mellow ver.)@IMAGE CLUB

知らないバンドだな。ちょっと見てみるか。
どれだけ多くのバンドを知っているか、どれだけマイナーなバンドを知っているか、それが全てだった。

ただこの曲を聴き終わる頃には、そんな事はもうどうでも良くなっていた。

再生する。イントロを聴いた時、その瞬間に、これだよな、yogee new wavesはそう思わせた。

邦ロックにはないメロウなメロディーで俺の部屋はとろみのある空気が包んで、体はベッドに沈んでいった。

目が見えなくとも、姿形色がわかる、ようなことを探し求め、コーラを飲み泣きじゃくった日々を

もう終わりなの、まだ踊ってたいのに、君の中で刻むメロディー、肩抱き合い笑い合った日々よ

あぁひどい夜のこと忘れてくれないか、もう一度だけキスしてくれないか、そんな夜さ

目が見えなくとも姿形色がわかる、ような気がしている僕らじゃ、何も得る事はできないのだろう

もう終わりにしようよ、まだ踊ってたいのかい?
君の中で刻むリズムに身を任せて、自惚れてたいだけなのさ

歌詞。なんとも気持ちいい叙情的な歌詞。これくらいで本当は良かった。どこか切なく、どこか気持ちいい、それくらいが音楽だった。

そしてボーカルの角舘健悟、その風貌がめちゃくちゃかっこよかった。ミディアムヘアでジェットキャップ。Tシャツにデニムでギターを弾いていた。

これだと思った。鏡を見る、丸メガネにマッシュヘアー、なんだこれ、かっこよくないな。そんな気がした。

俺はもう既に聴き終わる頃にはyogee new wavesの魔法にかかっていた。

彼らは音楽は魔法だ発言したことがある。それによって大森靖子から激怒されている。だが彼らの音楽は魔法だ。それを俺は身をもって知った。

センター分けと細い縁

彼らの音楽に出会ってから、少しのことでナヨナヨすることは無くなった。何かあればチルアウトしようよと思うようになった。

就職で岡山に引っ越した。その時浜辺でYogeeを聴いて、寝そべる、それが最高の休日の暮らし方になった。

気づいたら俺の髪型はセンター分けのロン毛までは行かないミディアム、メガネは丸メガネから、細い縁のメガネに変わっていた。

オリバーピープルのメガネは高かった。だけど惜しまなかった。

聞く音楽は年齢によって変わっていくことがある。その転換期はシームレスなことが多い。

ただこのように一夜にして変わることがある。それまでの常識が一曲聴き終わる頃にはひっくり返った。

音楽の力は存在する。言葉とメロディで人間は変われる。誰かにとっては知らない曲でも俺にとっては大事な曲。climax night、完璧だ。


ありがとう、Yogee New  Waves。

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