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【イタリア大学院留学】12. ミラノ(中編_ほぼ写真): 「1歩進むと世紀がズレる」カオスを体験してきたはなし
どうも皆さま、こんにちは。
毎日図書館に籠っていたら背中と腰が痛くなってきました、アラサー社会人留学生です。
Noteも継続的に更新していますが、大学院の方も抜かりはありません。宿題がほとんど出ない分、自分で授業から論文執筆まで計画を立てて研究を進める必要があり、自由である反面将来に対する責任も感じているところ。とはいえ、私が始めた物語です。しっかり描き切りたいと思います(私が卒業した高校の校訓も「自主自律」であったことから、そういうところに行く運命なのかなともたまに思ったりします)。
・・・とか言いつつ、「更新しないと、、、更新しないと、、、どんどんネタが貯まる、、、」と思いながら2ヶ月も放置してしまいました。ネタが溜まりに溜まって飽和状態です。自主自律とは一体、、、?
幸い試験もすべて終わり、2月中旬まで何もないので、写真を見て思い出せるうちに言語化していきたいと思います。
さて、前回の記事ではミラノに向かう道中をご紹介。
平野を爆走する新幹線と、壮大なミラノ中央駅に圧倒されました。
今回は本来であれば前編に組み込む予定だったミラノの街歩きの様子について振り返っていきます。日本の街並みも「カオス」と形容されて久しいですが、それとはまた違う文脈での「カオス」に突っ込んできました。伝統と革新が入り混じるイタリア経済の中心を、見ていくことにしましょう。
1. ミラノ中央駅周辺:・・・大手町?
9月4日14時、いよいよイタリア経済の心臓・ミラノの街に飛び込みます。
待ち合わせは15時、ミラノの代名詞とも言えるDuomo前。
ミラノ中央駅から地下鉄で向かえば6分程度で着くそうで、言うまでもなくそっちの方が便利な上に、何といっても鉄道です。
しかし、ミラノでの滞在は今から1日もありません。可能な限り街を見て回るために、今回は歩くことにしました。
そしてミラノ中央駅を出てすぐ、この街の異質さに気がつきます。
(当時)イタリア滞在歴2週間の自分でも何となく感じるくらい、この街はボローニャより南のイタリアとは明らかに違う雰囲気を纏っているように感じました。
言語化が難しいですが、フランクフルト国際空港や品川駅で感じる、機能性に全振りした青い、もしくはモノクロのオーラが見えます。中央駅から伸びる大通りが持つ雰囲気は、まさに東京の丸の内。
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石畳の上を歩く人たちは、皆さんフォーマルに決めたビジネスパーソン(に、少なくとも見えます)。歩くスピードや話す人たちの声の大きさなどから、この街の時の流れの早さを感じます。少なくとも、リミニで感じたそれとは全く異なるものです。
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15貫+枝豆を食べて、お酒もついて2000円程度。機会があれば試してみましょう
ちょっとだけ待ち合わせまで時間もあったので、もう1つのミラノの交通拠点:Porta Garibaldi駅まで歩いてみることに。Milano Centraleが都市間交通の拠点だとすると、後者は地域交通の拠点。通勤客も多く利用しているであろう駅周辺には数多くの高層ビルが立ち並びます。
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駅前には欧州を代表する投資銀行や外資系のIT企業のオフィスが立ち並ぶ、まさにビジネスの街。ちょうどお昼休憩を取られているビジネスパーソンの方々が多く行き交っていました。
もうすでに忘れかけていますが、ついこの間まで私も日本で一応社会人やっていた身。2年後にどのような姿になって社会に戻るのか、今から楽しみです(というか無事に社会に戻れるのでしょうか、、、)。
そして世界の建築界隈をざわつかせたマンションが、しれっと目の前に現れました。全く下調べもしていませんでしたので、完全なる偶然です。
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立地は文句なしにいいものの、果たして住みやすいのでしょうか、、、?
このマンションを皮切りに、Porta Garibaldy駅前は近未来的な開発がされています。私たちが持つ一般的な「イタリア」とは似て非なるものです。
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私たちがイメージする「欧州・イタリア」とは違う空間が広がります。
とはいえ、街全体が現代チックに上書きされているわけでは決してなく、残すべきものは残しています。こうしたメリハリの付け方に、日本の文化保全・観光地管理のヒントがあると個人的には思っているところ。
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建物の密度が他都市と比較して段違いな分、こうした遺構もなんの前触れもなく現れます。
さて、思った以上にPorta Garibaldyで時間を使ってしまいました。
待ち合わせ場所のDuomoに向かうとしましょう。
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(見るだけです。もうエスプレッソしか受け付けない体になってしまいました)
ロンバルディア州の州都であり、商業の街として古くから栄えたミラノは、その経済的・物質的豊かさがイタリアの中で群を抜くだけでなく、同時に貴族文化・宮廷文化の集積地でもあります。街並みを構成する建物ひとつ取ってみても、重厚な作りやきっちりと整えられた区画から、ミラノという街が持つ背景を私たちに教えてくれています。
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ボローニャの赤い街並みとは全くの別物。
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あまり「空白」を感じない都市計画が個人的には興味深いです。
余談ですが、これまでイタリア各地の建物を見てきて、ボローニャから遠ざかるごとに色が薄くなっているような印象を覚えたこともまた事実です(異論は認めます。というか個人的な所感なので、建築学的裏付けは一切ありません。ご了承ください。)
端的にまとめると、、、
ボローニャ:真っ赤っか
ボローニャより北(ミラノ、トレントなど):パステルカラー
ボローニャより南_地中海沿岸(ローマ、ナポリなど):赤よりは薄いが、やや濃いめの配色
ボローニャより南_アドリア海沿岸:南に行くほど白くなる
滞在の長短に関わらず上述のローマ、ナポリ、トレントなどにも実際に行ったので、その様子を覚えているうちにまとめたいと思います。まとめられるかな、、、、
さて、少し脱線しました。
綺麗に整備された路地をGoogle先生の指示に従って歩いて行くと、見えました。紹介は不要ですね。ガレリアです。
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つまり、元・東急目黒線の民として、ガレリアは聖地なのです。
要するに「アーケード街」です。ただしミラノという立地のせいか、建築家の方々が素晴らしいのか、どうしてこうも洗練されて見えるのでしょうか。
ドーム型の屋根は一度戦争で完全に破壊されたのちに再建されたということで比較的新しい建築物ではあります。ですがイタリア初代国王の名を冠するこの通り自体は日本の明治維新と同じ頃に開発されたもの。「ガワ」だけ新しくなり、それが持つ歴史情緒の核と要点は堅持されているというところに、洗練さの一因があるのかもと思ったりしました。
イタリアに来てどこに行っても思うのですが、古いものを古さを感じないのが不思議です。
これで帰国後「歌舞伎町タワー」とか行ったら何を思うんだろう、私。
そして200mほどのガレリアを抜けたら、そこはDuomoの目の前。
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5世紀かけて作られた世界最大のゴシック建築、またの機会に細かく見ることにしましょう。
「でかい、広い、古い」に「細かい」が追加されました。圧巻です。写真だとなかなかそのスケール感が伝わりませんが、キリストの威光に圧倒されます。
それもそのはず、ミラノは約500万人のカトリック信者を抱える世界最大の大司教区(カトリック教会の管轄区域。行政区域とか警察の所管みたいなもの)であり、その管区で一番偉い「大司教」の根城がこのDuomoなのだそう。
それは立派になるわけです。
15:00待ち合わせでDuomo到着が14:57。ややギリギリではあるものの、初めての都市を歩き回った割にはうまく立ち回った方ではないでしょうか。無事に先方とも合流して、ミラノの中心市街地を歩き回ることにします。
(ミラノ市内は地下鉄と路面電車がかなり整備されており、Milano CentraleからDuomoまで地下鉄なら冒頭でお伝えした通り数分で移動できます。初ミラノということもあって敢えて歩きましたが、次回からは大人しく地下鉄を使いたいと思います。段差の大きい石畳が割と足にきますので、、、)
2. ミラノ市街地:新旧入り混じるカオス
Duomo含めたミラノの中心市街地は、イタリア経済の中心地・ミラノの中でも特に経済が回るショッピング街。
日本でいうと渋谷や表参道、原宿といったような感じです。
(軒を連ねるお店の価格帯から連想すると日本橋により近いかもしれません)
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「洗練された古さ」というものすらあまり感じられず、上から下まで現代的な通りが続きます。
平日の昼下がりということもあり、人の通りはそこまで多くありません。また、店の外に景観をぶち壊すような広告が出ていないことも相まって、ガチャガチャした雰囲気は全く感じられません。京都の町屋街のような、洗練され、景観が1つのテーマのもとに整えられた印象を強く受けました。
お店の広告が出ていないこともあって景観としてはとても整えられている印象を受けますが、反面よーーーーーーーーく見ないどこに何のお店があるのがわからないのもまた事実。ミラノはブランドごとのランウェイ(ファッションショー)のスケジュールが細かく公開される程のファッション街であり、所狭しとブランドショップが並んでいるものの、ぽっと出の一見さんは下調べ必須でした。
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お店の前に来てやっとブランドの名前を認知し、びっくりするということをひたすら繰り返してました。
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建物の背が高いこともあり、より奥まって見えます。
そうしてぶらぶら歩いていると、いつの間にかMilano Centlateまで戻ってきていました。
ミラノには兎にも角にも「すごい都会」というイメージがつきまといますが(実際に、都会ではあります。そこは否定しません)、地理的な広がりはさほどありません。山手線の上半分(中央線よりも上)程度、もしかしたらそれよりも小さいスペースに諸々ギュッと凝縮されているような感じです。ちなみに人口は郊外を含めて1.4万人。京都や福岡とだいたい同じくらいでしょうか。
やはり駅前だけ開発が進み、時代が違って見えます。当日案内していただいた方曰く「駅前だけ家賃の桁が違う」のだそう。なんとなくの感覚だけ聞いた話では、Milano Centlareから徒歩10~20分圏内の1人部屋に住みたければ日本の大卒初任給以上は必須だとか。すごい世界です。
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(というか誰が住めるのでしょうか、、、?)
思った以上にサクッと市街地を回れてしまったので、ミラノのお城にもついでに行くことにしました。
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ザンシンデスネ- ()
市街地を適当にぶらぶらし、急に緑が増えて開けてきたと思ったら目の前になんか現れました。
茶色い城壁に特徴的な塔。ルネッサンス様式の傑作「スフォルツェスコ城(スフォルツァ城)」です。
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立派な城壁を眺めつつ、正面から入ると城攻め()の気分を味わえます。
中世のミラノ繁栄の象徴とも言える立派なお城には、数多の美術品が収蔵された美術館・博物館も併設されています。歴史・美術が好きな方は多分丸1日あっても足りないのではないでしょうか。ちなみに私は絶対に足りません。
今回はお城まで来たとはいえそこまで時間があるわけでもないので、中をサッと歩くだけにして博物館・美術館はまたの機会としました(こういう「ヒット・エンド・ラン観光」、あまり観光地にとって良いことではないんですが、、、)。
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ちなみに名前は「arco della pace (平和の門)」だとか。
写真だとまだ明るく見えますが、平和の門を訪れた時点で午後7時前後。市街地に戻り、路面電車で今日の宿泊先に向かうことにします。
地理的な余談ですが、ミラノが属するロンバルディア州はイタリアで最も北の州の一つであり、ミラノから電車で2時間もあればスイスに入ります。割と高緯度であるため、夏の日照時間は相当に長いのです。緯度的な話をするとミラノ及びヴェネツィアがほぼ稚内ということで、どれだけ北に位置しているかが想像できるのではないでしょうか
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(私のお気に入りのチームは日本のオレンジですが、こちらでも試合を見に行ってみたいですね)
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アパレルやファストフード店など、いかにも大都市らしいお店が軒を連ねます。
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パンツを一枚買わせていただきました(Airismとはいえ1枚2000円強は高くないですか、、?)
アパレルやファストフードだけでなく、エスプレッソが絶対的な権力を握るこの国においてなかなかに意外なお店も。
そうです。中目黒にあるアレです。
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中目黒の店舗に続き、世界6店舗のうち2店舗目を制覇です。
イタリア人にとって「ドリップコーヒー」はどのように映るのでしょう。チェーン店などある程度の規模をもつお店に行くとメニューにはあるものの、ドリップコーヒーを飲んでいる人は見たことがありません(私のクラスメイトにはそもそもドリップコーヒーを知らない人も割と。。。)。
私のクラスメイトの1人が一度物珍しさに飲んでいましたが、反応からして彼は二度と飲むことはないでしょう。
そして路面電車で本日お世話になる方のお家へ。
(路面電車には翌日もお世話になったので、その様子は次の記事で)
途中、買い物のために途中下車すると、目の前にはかなり珍しい建設現場が。
「イタリアで団地???」と最初は思いましたが、これは来年の冬季オリンピックのための選手村。言われてみれば確かにミラノ開催でした。
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その頃の私は何をしていることやら、、、
そうして買い物を済ませてお家にお邪魔し、仕事にプライベートに楽しい夜を過ごしたのでした。
アテンドありがとうございました!
おわりに
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
通りを1つ越えるたびに現代的なオフィスやマンションが、そしてもう1つ越えると中世の威光をそのまま残す美術館や教会、オペラホールが現れ、まるで異なる時代を反復横跳びしているような感覚を覚える街でした。心なしか人々の行き交うスピード、もっと言うと「生きるスピード」が既に知っているイタリアよりも早く、そして日本に近いとも感じます。それが良いことかどうかはわかりませんが、街の雰囲気や時代が入り混じるカオスも含めて、日本人にとっては親近感を覚えやすい街なのは確かです。
と同時に、「ミラノ人」と「ミラノ人以外」でイタリア人が大別されるという話を日本人・イタリア人の双方から聞く機会があり、今回の体験を踏まえてさもありなんとも思います。日本は将来、どっちに進んでいくんでしょうねぇ、、、
次回はミラノで大洪水に遭いつつも、なんとかボローニャまで移動して大学の同期と落ち合った様子を振り返りたいと思います。電車内で爆睡して目が覚めたら知らないターミナルに運ばれていた当時を思い出して、今でも鳥肌が立ちます、、、
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