【教育書】発達が気になる子の教え方 #24
こんにちは。GIANT KILLINGです。
今回紹介する本は、
以前も紹介させていただいた渡辺先生の新作です。
発達が気になる子の教え方
発売されてから間もないのに、
Amazonには、
すでに高評価のレビューがたくさんあります。
さすが渡辺道治先生といった感じです。
私も本書からたくさんのことを学びましたので
こちらにまとめさせていただきます。
本の概要
最初に、担任の心構えとして、
不適応行動に対し、
「あー、またこの子か、困ったな」と思うのか
「一体なぜこの行動をするのか」と考えるかによって
子どもとの接し方が変わると書かれています。
教師の先入観(バイアス)を取り払い、
背景・要因を考えることこそが改善の一歩です。
ついつい文句を言ったり、あの子だからねと
思ってしまうこともありますが、
それでは子どもの行動改善にはつながりません。
また、
子どもは自分が好きかを読み取る天才です。
そのような後ろ向きな気持ちは子どもに伝わります。
教員は、
発達の特性や問題行動への効果的な対応の仕方を知り、
不適切な行動が起きた時に、
適切な対応が瞬時にできるくらいの技能化、
特別支援教育の概念の血肉化が求められます。
不適応行動の種類と対応のポイント
本書では、
不適応行動の種類として4種類に分けています。
それぞれの特徴と対応のポイントを挙げます。
①逃避行動
→目の前のことをやりたくない。逃れたい。
逃避行動をする子に対しては、
逃避が起こる条件を探ったり、
逃避した結果、
どのような恩恵を受けているのかを聞いたりして、
環境の調整をすることが大切です。
学校に行きたくないという子が、
家にいる方が楽しいと思うことのないように、
配慮していくこと等が必要です。
②要求行動
→ 〜がほしい。〜がしたい。
要求行動をする子に対しては、
正しいスキルを教えて、褒めることが大切です。
誤った行動には取り合わないようにし、
主導権を握りながら、正しい行動を強化します。
お菓子がほしいと泣き喚く子に、
お菓子を買ってあげたら、
毎回、毎回泣いて買ってもらおうとします。
そのような行動は心苦しいですが無視をし、
落ち着いているときに、
お菓子を買うルールを確認し、
それを守れたら褒めて買ってあげるのがベストです。
③注意喚起行動
→注目を浴びたい。気づいてほしい。認めてほしい。
授業中に目立とうとして、
面白いことを言ったり、
変なところで笑ったりして目立とうとする子がいます。
そんな注意喚起行動をする子に対しては、
低刺激・高刺激対応を使い分けることが大切です。
まず、第一にふざけたくなることのないくらい
授業を魅力的に夢中にさせることができたら
不適切行動が減ります。
不適切な注目を浴びようとする行為には、
ポジティブノーリアクションで対応します。
先生に構ってもらえた、
みんなに気づいてもらえたといった誤学習がないよう
出来る限り低刺激を与えるようにします。
その一方で、
正しい形でみんなの役に立ったり、
有意義な発言をしたりする場合には、
高刺激としてたっぷりと称賛します。
このような使い分けで、
子どもの構ってほしいという欲を満たします。
④自己刺激行動
→ 〜が楽しい。無意識にしている。
自己刺激行動をしている子に対しては、
合法的に刺激を入力させてあげることが大切です。
つい立ち歩いてしまう、
つい友達にしゃべりかけてしまうといった行動を
全て制限するのではなく、
授業の中で、
立ち歩きOK、おしゃべりOKの時間を設定します。
学習作業にバリエーションを加えることで、
飽きることなく、
集中して活動に取り組むことのできる時間が増えます。
このように不適応行動の種類と対応のポイントを
教師が理解しておくことで、
子どもの二次障害、被害を防ぐことができ、
安心して学校生活を送ることができます。
教師のあり方
子どもと上手く関係をつくり、
指導が響くようにするためには、
日ごろの信頼関係が大きく影響します。
本書では、
教師が最高の先行条件になることが
大切だと書かれています。
自身が子どもにどう認知されているかが重要です。
よい関係であれば、言葉はすぐに伝わりますが
よくない関係であれば、
どんなに正しいことを言っても響きません。
子どもから信頼や尊敬を得やすい教師の特徴として
このように書かれています。
加えて、
→褒める・微笑む・話す・触る・見つめる
この5つの頭文字「ほほはさみ」をすることで
セロトニンを分泌させ、
子どもたちに安心感を与えることができます。
さらに、
→運動・見通しをもつ・目標を立てる
高得点・変化をつける
この5つの頭文字「海もこへ」をすることで
こちらはドーパミンを分泌させ、
子どものワクワク感を高めることができます。
ほほはさみや海もこへを日ごろから意識することで
教師がよい先行条件になることができます。
不適応行動が起きてから、
これらを意識しても時すでに遅しです。
日ごろからの良好な関係があってこそ、
いざというときの指導に生きます。
おわりに(こんな人におすすめ)
本書では、
さらに24の場面でも実際の対応の仕方を、
渡辺先生が質問に答える形式で書かれています。
冒頭に書いたように、
本書で学んだ知識をいかにして、
自身の血肉とし、技能化できるかが大切です。
実際の授業中にどれだけ冷静に、
よりよい対応ができるかを念頭に置く必要があります。
私自身も、子どもに指導をしてから、
この指導・対応はいまいちだったな、
ちょっと一貫性のない指導をしてしまったと
後悔することも多々あります。
多くの本を読んでも、
血肉化・技能化できていない証です。
日々、子どもの様子を的確に見取り、
発達の特性、対応の仕方を思い出しながら、
意識的に経験を積むことが重要だと考えています。
・子どもとの関わりに不安を抱えている先生
・かつて上手くいかなかった子がいて、
いまもなお後悔しているような先生
このような方におすすめの一冊です。
渡辺先生の本はどの本も
学びが多く、前向きになれる本ばかりです。
こちらの本も素敵な一冊でした。
本書も読んでよかったと心から思える本でしたので
夏休み終盤ですが、
最後に一冊読んでみてはいかがでしょうか?