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【10月新刊発売!】光文社文芸編集部の新刊8作品をご紹介!

2024年10月は8冊の新刊を刊行しました!今回も読み応え抜群!



①『まず良識をみじん切りにします』浅倉秋成

★あらすじ

「とにかくヘンな小説をお願いします」
そんな型破りな依頼に応えるべく、炒めて煮込んで未知の旨味を引き出した傑作集。憎き取引先への復讐を計画する「そうだ、デスゲームを作ろう」、集団心理を皮肉った「行列のできるクロワッサン」、第76回日本推理作家協会賞ノミネートの『ファーストが裏切った』など、日々の違和感を増殖、暴走させてたどり着いた前人未到の五編。
これも浅倉秋成。いや、これこそが浅倉秋成。

☆担当編集の≪ココが推し!!≫

映画公開が直前に迫った『六人の嘘つきな大学生』をはじめ、”伏線の狙撃手”としてベストセラーを連発する著者ですが、本作は一流スナイパーが休日の息抜きとして書いたような作品集です。
日々感じていた違和感を妄想でパンパンに膨らませつつ、肩の力を抜いて自由自在に書き上げた五編は、浅倉秋成氏に新たな武器をもたらしました。
これまでとは一味違う、浅倉氏の別面をぜひ覗いてください。
でも、ご注意ください。一度ハマったら、後戻りはできませんよ。

担当編集D.N

『PIT 特殊心理捜査班 蒼井俊』五十嵐貴久

★あらすじ

車椅子の刑事・蒼井俊が捜査する連続殺人事件。被害者はSNSなどで糾弾されながら司法に裁かれなかった者たちだった。彼らの悪行をなぞらえるかのような異常な死に様に、蒼井は犯人の自己顕示欲を見て取る。そして、残酷な手口にかつて警察組織を裏切った稀代の犯罪者の存在を感じた。その人間こそ、彼の四肢の自由を奪った元凶だった――。

☆担当編集の≪ココが推し!!≫

「交渉人」シリーズなど警察小説にも定評のある五十嵐貴久さん。
警察機構への深い造詣もいかした本作は、プロファイリングを駆使して捜査を行うチームの活躍が描かれます。そのチームに所属する蒼井は、過去にある悲劇に見舞われ、車椅子を生活を余儀なくされる身。それでも捜査に心血を注ぎます。ハンディキャップを背負った男の奮闘を描く本作は、警察小説の最前線といっても過言でありません!

担当編集Y.S

③『その殺人、本格ミステリにさせません。』片岡翔

★あらすじ

続編は、より派手にさらに過激に、いっそう残酷でなくてはならない。小説も映画も、そしてもちろん犯罪も。
探偵×館×猟奇殺人
話題作『その殺人、本格ミステリに仕立てます。』派手で過激な続編、完成!私は、事件が起きる前に止めたいんです!
探偵の音更風゛(おとふけぶう)は、カルト的人気監督・鳳灾子(おおとりさいこ)から新作映画の監修を依頼された。風゛にとっても因縁のある名作本格ミステリ小説の映画化だ。灾子が起こした過去の事件の顛末や、関係者の証言、原作のストーリーから、風゛は灾子が殺人を企てているのではという疑念を捨てきれない。死体が発見されてから推理を始める「本格ミステリ」の探偵ではなく、事件発生前に止められる名探偵になりたいと考える風゛だったが、無情にも殺人計画は動き出していた――。
連絡不通の孤島。奇怪な館で次々と起こる殺人。巻き込まれた名探偵。
これはまさしく、「本格ミステリ」!(カバーイラスト 浅野いにお)

☆担当編集の≪ココが推し!!≫

あの〝天然な名探偵〟が帰ってきました!
22年に刊行した『その殺人、本格ミステリに仕立てます。』はたちまち重版、話題作となりました。前作から2年後、瑠璃色コートとゴツめの眼鏡がトレードマークの探偵・音更風゛(おとふけ・ぶう)を主人公にした、続編がついに登場です。
個性的なキャラクター達や密室殺人事件の行く末はもちろんのこと、風゛ちゃん自身の葛藤と成長する姿も必見。より過激な続編、前作と併せてぜひお楽しみください。

担当編集M.I

④『いくさじまた』清水朔

★あらすじ

大分、臼杵。海沿いの静かな城下町に、薩摩の不平士族が攻め入る。決死の市街戦の行方は。
明治十年、西南戦争が勃発。その戦火は広がり、大分・臼杵にも迫ろうとしていた。すぐに臼杵の士族たちは集まり官軍に付くことを決め、士族たちによる守護隊――勤皇臼杵隊を編成する。予備隊に配属となった赤嶺煕にとって、これが初めての戦だった。煕は、攻め入る薩軍から町や大切な人たちを守ることができるのか。

☆担当編集の≪ココが推し!!≫

清水さんが本作の舞台でもある大分・臼杵市に訪れ取材をし、4年の構想の末に書き上げました。
西南戦争を題材にした歴史小説でもあり、友を殺した犯人を見つけるミステリーとしての一面もあり、普段歴史小説を読まない人でも楽しめる内容になっています。青年・煕の目線で描かれる戦争の理不尽さ、一人ではなにもできない無力さ、生きることについて考えさせられました。
(カバー裏にろく爺を入れ込むか最後の最後まで葛藤したぐらい、個人的な推しキャラです)

担当編集K.Y

【おまけ】

熱心な読者の提供写真

⑤『日本の犯罪小説』杉江松恋

★あらすじ

昭和の頃、小説の中の犯罪者は、固定観念を打ち砕く革命家のようでもあった。激しい怒りと、震えるような苛立ちが彼らを突き動かしていた。作家たちは、彼らに何を仮託していたのか。そして、社会の変化と成熟は、犯罪小説をどう変容させたのか。大藪春彦、江戸川乱歩、松本清張、阿佐田哲也、池波正太郎、小池真理子、宮部みゆき……18人の作家の創作の秘密に、「犯罪」のキーワードから迫る、迫真の文学評論。

☆担当編集の≪ココが推し!!≫

一言でいえば、すごい評論集です。小説の読み方がおそらく変わります。
終章含む全13章では、章ごとに特定の作家に焦点を当て、”犯罪”というモチーフで捉え直すことで、作家たちの創作術の核心や日本における犯罪小説の系譜が浮き彫りになっていきます。個人的に面白かったのは各作家のバックボーンへの言及でした。たとえば、西村京太郎の出発点にウィリアム・アイリッシュの作品があったことや、池波正太郎の作品群には恩師・長谷川伸の影響が大きいなど。小説の読みのレイヤーが深まる一冊です!

担当編集Y.S

⑥『ブラックキャット』松嶋智左

★あらすじ

刑事なのに。正しいことをしたいのに。どうしてこんなことをしているのだろう。追いつめられた女性刑事が重ねる、嘘と罪。残された道は、この事件を解決することだけ。白と黒の間でもがく、緊迫のサスペンスミステリ!
群馬県警本部捜査一課の刑事、白澤蕗の前に、数年ぶり現れた兄・然。小狡くて卑しい然とは縁を切っていたが、200万円を用立ててくれと泣きつかれる。然にとある負い目がある蕗は、追い詰められて署の証拠品保管庫から現金を盗み出す。数日後、元検事の小曽根に金を借り保管庫に戻すが、今度は小曽根から強請られる。借用書を取り返そう小曽根宅へ侵入した蕗だったが、そこには目を疑う光景があった―—
元白バイ隊員の著者が挑む、警察小説の新機軸!

☆担当編集の≪ココが推し!!≫

著者の松嶋さんは元警察官で、日本初の女性白バイ隊員でもあります。その経歴を活かし、これまでさまざまな警察小説を発表されてきましたが、どの作品にも、わかりやすい正義の味方や悪役が登場しないのが特徴です。本作の主人公・蕗も、「正しい警察官」を目指しながらも、ふとしたきっかけで悪事に手を染めてしまいます。正しい道に戻ろうとすればするほど、また別の悪に絡めとられてゆく―—。もがきながら行き着く先は、黒か白か。ぜひ読んで確かめてみてください!

担当編集A.Y

⑦『日本暮らしのフレンチ・アンティーク』山端朱美

★あらすじ

共に暮らす喜び、豊かさが詰まった、フレンチ・アンティークを現代日本の暮らしに取り入れるための楽しい指南書!
中学生の頃からフランスに憧れを抱き続け、就職後、初めて彼の地を訪れた際、パリ・マレ地区のアンティークショップで手に入れたのは古いヨーグルト瓶。この最初のフレンチ・アンティークがきっかけでその魅力に取り憑かれ、やがてバイヤーに――。カフェオレボウルは小丼として、陶板に見立てた白いタイルにはいちご大福を、ピシェ(水差し)にはキッチンツールを収納し、軟膏ポットは爪楊枝入れに……。
「古き良きモノも使ってなんぼ」「アンティークはエコ」。
100年以上前にフランスで作られ、愛用されてきた食器や道具を、現代の日本に暮らす私たちが楽しく取り入れる方法を、それらが持つ歴史・背景と併せ、フレンチ・アンティーク愛たっぷりにご紹介します。

☆担当編集の≪ココが推し!!≫

冒頭に登場する著者の住まいは築50年、43㎡1LDKの典型的な日本のヴィンテージマンション。そこには時空を超えて現役で活躍するアンティークたちの姿があります。100年以上前にフランスで生まれ、21世紀の今に至るまで大破を免れてきた食器や道具。それらはもはやただの“モノ”ではなく、代々持ち主に大切に扱われてきた歴史と愛が詰まった“物語”。そしてそれこそが、新品にはないアンティークの最大の魅力です。お皿1枚、カトラリー1本、花瓶ひとつで、食卓や小さなコーナーの風景を彩り、私たちの心と暮らしが豊かになるのは、アンティークが受け継いできた愛の循環のなせる業。
そんなアンティークと一緒に暮らしたいという方に、何を買えばいいか、どう取り入れればいいか、“物語”と共にアンティーク愛たっぷりにお伝えします。

担当編集R.H

⑧『ダキョウソウ』洛田二十日

★あらすじ

しっかりと世話をすれば、おしゃれ系雑誌の表紙を飾ってもおかしくないほどに美しい花を咲かせるが、適当に放っておいても、まあまあ育ってくれる。そして、粉状のものならなんでも(のりたまでも!)受粉してしまう、妥協上手の(?)「ダキョウソウ」。そんな不思議な植物をめぐり描かれる二人の女性の絆が切ない表題作。
宅配便の再配達依頼を何度何十度繰り返しても受け取れない荷物。ちょっとした隙をついてやって来る配達人は、不在連絡票を残してすみやかに立ち去ってしまうのだ――(「再配達プリズン」)。
ほか、読む者の世界観が根元から揺るがされる全20篇を収録。

☆担当編集の≪ココが推し!!≫

ショートショート大賞を受賞後に刊行された『ずっと喪』で熱狂的な支持者を集めた洛田さん。その後、大量に書き溜められた作品の中から、えりすぐりの20作を一冊にまとめました。あまりに奇抜すぎる発想をアクロバティックに着地させる手腕には、うなるしかありません。
天久聖一さん、街裏ぴんくさん(R-1グランプリ2024王者)、大島育宙さん、永井玲衣さんら、そうそうたる面々が大絶賛!! 
想像力の限界の斜め上を突っ走る物語20篇。
あなたを、いまだかつて見たことのない世界にお連れします!

担当編集T.F

【10月新刊発売中!】


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