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【9月新刊発売!】光文社文芸編集部の新刊5作品をご紹介!
2024年9月は5冊の新刊を刊行しました!今回も読み応え抜群!
①『このドキュメンタリーはフィクションです』稲田豊史
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★あらすじ
ドキュメンタリー [documentary]
虚構を用いずに、実際の記録に基づいて作ったもの。記録文学・記録映画の類。実録。-広辞苑 第七版-
作り手の作為を見抜くと、ドキュメンタリーは悪魔的に面白い。
『映画を早送りで観る人たち』の著者による、令和の新しいドキュメンタリー入門書
あなたの部屋にカメラが設置してある状態での〝普段の生活″と、カメラがない状態での〝普段の生活″は、絶対に同じではないはずだ。
『さよならテレビ』『FAKE』『ザ・コーヴ』『主戦場』『さようなら全てのエヴァンゲリオン』『映像の世紀』『水曜日のダウンタウン』……。
数々の身近な作品を通し、ドキュメンタリーの加工性に迫る!
☆担当編集の≪ココが推し!!≫
本作はドキュメンタリー好きでももちろん楽しめる内容でありながら、そうでない方でも馴染みのあるテレビ番組なども通り扱われており、ドキュメンタリー初心者の方でも楽しめる内容になっています。
ドキュメンタリーというジャンルの新しい観方が詰まっていて、読後はドキュメンタリーの捉え方が180度変わるかもしれません。
過去に一度観たドキュメンタリー作品でも、この本を読んでからぜひ異なる観方でもう一度観ていただきたいです。
作り手の作為の沼に、稲田さんの語りを通して是非ハマってみてください!
『荒れ地の種』江上剛
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★あらすじ
2011年の東日本大震災で津波による被害を受け、二百年以上続く酒蔵も流された「福の壽」を造る矢吹酒造所。地震後の原発事故により町に住めなくなり、家族は他県に移り住んだ。八代目の光は、酒蔵の再建は断念し、別の仕事をしながら日々を送っていた。しかし光は、今でも津波に襲われたときに一人の少女を救えなかったことを悔やんでいる。その光が、あるテレビ番組の取材を受けたことで、さまざまな人々の生き方を変えることになる。
コロナ禍で鬱々とする東京の大学生は、出身地で酒造りをしたいという目標を見つける。後継者がおらず、廃業を考えていた酒蔵を継ごうとIターンする若者……。
酒造りに関わる人々のみならず、金融機関をも巻き込んで酒蔵の再興に挑んだ人々の姿を活写する、〝人生の応援歌〟!
☆担当編集の≪ココが推し!!≫
福島の浜通りから会津若松、そして山形まで、関係者への取材を敢行して江上さんが書き上げた作品です。
この作品には、いわゆる〝悪役〟は登場しません。
家族や関係者のみならず、金融機関や役所、電力会社まで味方につけて、一丸となって困難に立ち向かう姿は、清々しくて美しいのです。
お読みになると、きっと勇気づけられるに違いない感動のドラマです。
あなたの胸にも「種」をまいてくれることでしょう。
③『わたしたちは、海』カツセマサヒコ
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★あらすじ
クラスの女子たちが、タイムカプセルを埋めたらしい。6年3組のぼくは、親友のシンイチとヨモヤとともに、遠くの煙突の麓にある公園まで自転車で行ってみることにした――「海の街の十二歳」
小学校教諭の岬と保育士の珊瑚。幼なじみの二人は休日に近くの海へドライブへ行った。渋滞にはまった帰り道、二人は光るスニーカーをはいた4歳くらいの子供が一人で歩いているのを見つけ――「岬と珊瑚」
高校の同級生・潮田の久しぶりのSNSを見ると、癌で闘病中とあり見舞いに訪れた波多野。数ヶ月後、潮田は亡くなり、奥さんのカナさんから、散骨につきあってほしいと言われ――「鯨骨」
海の街にたゆたう人々の生の営みを、鮮やかに描き出した傑作小説集。書き下ろし1編を含む全7編。
収録作:「徒波」「海の街の十二歳」「岬と珊瑚」「氷塊、溶けて流れる」「オーシャンズ」「渦」「鯨骨」
☆担当編集の≪ココが推し!!≫
相手との距離感、信頼や警戒の度合いが自然と立ち上ってくる会話がとにかく素敵です。男女間だけでなく、父と子、妻と夫、少年同士、老人と女子高生など、それぞれの関係性の絶妙な空気感を醸してくるセリフたちをぜひ味わってほしいです。個人的イチオシは、「氷塊、溶けて流れる」の凪斗くんとパパの会話。尊すぎて思い出し泣きできるレベルです……
それぞれの人生を、抗ったり受け入れたりしながら日々を営む人の息づかいを丁寧に掬い取ってきてくれた小さな決勝みたいな7編です。
陽キャでリゾートな海が苦手な私たちのための海が広がっています。
④『抹殺』柴田哲孝
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★あらすじ
生き残れ。殺してもかまわない。
元首相襲撃の真相に迫る『暗殺』で話題沸騰の著者が、絶望の戦場を描く!
自衛隊日報問題を起点に繰り広げられる緊迫の軍事サスペンス!
――殺られる前に敵を殺れ――
〝特戦群〟では常に、そう教えられてきた。
元自衛隊員の遺体がまた見つかった。共通するのは、政情不安下の南スーダンにPKO部隊として派遣された""特戦群""メンバーだったこと。俺たちは狙われている――同隊所属の風戸亮司の疑惑は深まり、危機からの突破口を探り始める。時を同じくして一人の女性医師が南スーダンから帰国し愛娘と再会した。だがその直後、凄惨な悲劇に遭遇し……。彼の地に関わった者たちに迫る不穏な影の正体は? そして、その目的とは?
☆担当編集の≪ココが推し!!≫
元首相銃撃事件の真実に迫る『暗殺』が話題の柴田哲孝さん。新作『抹殺』も実在の事件をモチーフにした一作です。
2016年に世間を震撼させた自衛隊日報問題。南スーダンで起きた暴動で多数の死傷者が発生。陸上自衛隊の日報には「戦闘」という言葉があるのにもかかわらず、政府は「武力衝突」であると一貫して主張。報告書には複数の黒塗りの箇所が目につく。
PKOとして派遣された隊員たちの身に本当は何があったのか。
その現場にいた自衛隊員・風戸が目にした悲劇とは!?
さらに時はくだり現在。自衛隊を辞した風戸の元同僚たちが不慮の死を遂げていく。この異常な事態はもしかして南ス-ダンでの出来事と繋がっているのか!?目の前で繰り広げられる戦場の光景はどれもリアル。
謎に満ちた物語は最初から最後まで一瞬たりとも息つけぬ展開で一気読み必至です!
⑤『世界のすべて』畑野智美
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★あらすじ
――恋愛感情がない。性欲がない。それでも「普通」に暮らしている。
5年間勤めた会社を辞め、街の小さな喫茶店「ブルー」でアルバイトをする鳴海優輝。
心優しい啓介が営む「ブルー」には秘密を抱えた人々が集まってくる。
デザイナーの北村、高校2年生のヒナ……。
常連客の悩みに向き合う鳴海にも、周りに言えない想いがあった。
多様なセクシュアリティを持つ人々を、やわらかく鮮やかに照らす、畑野智美の新たな代表作。
☆担当編集の≪ココが推し!!≫
畑野さんが本作で描く世界は、私たちの心を包み込んでくれます。
日々生きる中で抱える苦しさは、他人にとっては些細なことに見えても、本人にとっては大きな悩みにであることも少なくないと思います。
そんな違和感たちを「それでも大丈夫」「あなたはあなたの”普通”でここにいていいんだよ」と肯定してくれるような、あたたかな物語です。
ジェンダーについて言及されている物語ではありますが「周りと違う」と悩むすべての人に贈りたい作品です。
装丁の紫色に込められた意味にも是非ご注目ください!
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