田岡亮祐

革職人。 https://ghoe.jp

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2022

今年もありがとうございました。おかげさまで製作にどっぷり浸かった一年になりました。昨日仕上がった品物からも僅かながら技術的な革新が得られて、とても幸せな気持ちでおります。 来年は大きく動く年で、その準備にも慌ただしく過ごしております。今日明日は工房を離れて諸々考えようと思います。 皆様、良いお年をお迎えください。営業は4日からの予定です。来年も何卒宜しくお願いいたします。

    • 先達に見る

      十年程前から気になっていた異業種の職人さんがいます。様々な逸話を聞いてどんな方なんだろうと想像を膨らませていました。 先週、ついにその方のしごとを体験する機会に恵まれました。十年越しの想いもあり最初は緊張していたのですが、その緊張も吹き飛ぶ程、とにかく圧倒されました。只々のけぞる感覚、得難い経験でした。90代現役の静かなオーラにも引き込まれました。後光が差すというより薄っすら発光しているような錯覚を覚えました。 しごとについてお話させてもらい、「同じことの積み重ねです」という

      • JAL機内誌

        JAL機内誌「SKYWARD」10月号に掲載していただいてます。残り数日ですが、、笑 これから飛行機に乗る方、ご覧くださいませ!

        • 一歩一歩

          つくるものが良ければ素人もプロも無い。 趣味で革細工をされてる方の品物に心動かされたことが何度かあって、全てはっきり覚えてる。 今日は、長年革を学ばれて今年開業なさったKさんの品物を初めて生で見て、そのセンスに魅了された。自分には無い発想と美しい仕立て。心地良い衝撃だった。 今夜は出張先のホテルに居る。妻が電話で教えてくれて、たたら製鉄で玉鋼をつくる工場のドキュメントを観た。良い番組だった。その後は天気予報、台風が来ているそうだ。帰りの飛行機は心配だが、街中の澱を吹き飛ばす

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          鞄をつくる日々

          朝夕の風が涼しく、すっかり秋の気配ですね。 この夏は鞄の製作にどっぷり浸かりました。 ghoeの品物は「手縫い」「磨き」の部分にフォーカスされがちですが、最大の特徴は「試作検討にかける時間」かもしれません。 数は多くないけれど一つ一つの鞄を図面からじっくり検討して、試作を繰り返し、緊張の本製作で日々が過ぎていきました。つくっている最中は悩み苦しんでいるのですが、振り返ると幸せだったと感じるから不思議です。 この秋も同じような日程です。緊張の糸を切らず、焦らず、良いものをつくる

          鞄をつくる日々

          ずっと工房に居ます

          製作の日々です。 阪急うめだ出展、取材が数件、徳島県内出展と、皆様にご覧いただける機会はつくりつつも、私自身はひたすら工房に籠ってます。 フルオーダーは勿論、定番品もつくる毎に向上を求めております。微に入り細に入り、はたまた発想を転換して全部捨てる場合もあったりと、日々充実した製作を行えています。 私のしごとを要約すると「振り絞って、良いものをつくって、喜んでいただく」というところです。 毎度真剣勝負です。最近はもっと脳味噌を振り絞る握力を増せないかと考えています。つくり続

          ずっと工房に居ます

          接客のかたち

          先日うちの工房で、業界の大先輩と打ち合わせをしていました。そこにお客様が来られました。ぼくが品物や仕立てについてお話している間、先輩は話の途中だから帰る訳にもいかず、少し離れたところで待たれていました。 お客様が帰られた後、「おもしろい接客するんだな。」その一言が頭に残り、ここ数日は接客について考えていました。 振り返ると開業した当初は「失礼があってはいけない」意識が強すぎました。肩肘張って、固苦しいやり取りになっていたように思います。若かったです。反省。 スタッフが入って

          接客のかたち

          滾ってます

          この十年を振り返ると、とにかく量をこなした二十代前半、その後各地に出展しながら精度と密度を増した数年間がありました。 ここ最近は出展の場に立つことも減り、改めて量で練っている感覚です。もっといけるだろ?の連続で向上を得られています。発想は広がり、眼識は厳しくなり、底上げと挑戦が加速しつつあります。 この熱は品物にも宿っていると思います。後世の職人が見ると「このひとは本当に革が好きだったんだろうな」と感じてもらえるんじゃなかろうか。唸らせたいです。 これからの十年、更に前のめ

          滾ってます

          「徳島を撮る」写真展

          台湾出展が終わりました。多くの方にご覧いただけたそうで一安心。ghoeをチェックしてくださっている現地の方々もお越しになられたそうで、ありがたい限りです。 アジア圏の皮革文化の盛り上がりと熱量には圧倒される思いです。次回は是が非でも行きたいです。 明日からは地元徳島で出展です! 「大杉隼平 徳島を撮る」写真展 写真家 大杉隼平氏が撮影した13名のポートレートと共に、各々の作品が展示されます。この方々が集まるのは凄いと思います。 皆様ぜひご覧ください! 4月9日〜4月1

          「徳島を撮る」写真展

          challenging

          今月で工房を構えて十年が経ちました。 御注文主に満足してもらいたい、お使いいただく中で良さを感じてもらいたい、突き詰めると「どうにかこうにか、もっと良いものをつくりたい」と足掻いた十年でした。 昨年頃からは守破離でいう破の感覚が増してきました。離を手にするにはあと何年かかるかわかりませんが、きちんと背景のある独自の型を追求したいと考えています。革の可能性を広げられたら最高です。唸らせたいです。 我々の業界ではまだまだ若輩。挑戦者の気持ちで二十年目を目指します。

          台湾出展

          台湾のセレクトショップ、Mr. Mannersにて出展です。会期中も工房は営業いたします。 期間:2022年2月14日~2022年2月28日 *3月末まで延長になりました 会場:Mr. Manners 105台北市松山區新中街50號1樓  https://www.mrmanners.co 台湾の皆様、ぜひご覧ください。 ご縁に恵まれての出展。今回も現地には伺えませんが、写真や現場の反応は頂けてありがたい限り。落ち着いたら必ず行きたいです。

          革で立体をつくる面白さ

          カバン。鞄。革で包むと書きます。 包まれるのは御注文主が持ち歩かれる荷物。満足感を持って心地良く、日々のお供になり得る鞄をつくりたいものです。 鞄づくりは奥深く、検討の連続です。見た目や使い勝手だけでなく、重量に対する耐久性、負荷のかかる箇所とその方向、経年変化を見越して設計する必要があります。 ずっと考えながら手を動かしていると、様々な制約をひっくり返して、美しい意匠に昇華できる瞬間があります。自由な発想で誠実な仕立てを追求したいです。 昨年は全国各地の方からこれまでに

          革で立体をつくる面白さ

          展覧会in徳島市

          地元で出展。かなり大規模な企画展で、見応えあると思います。 ghoeは本藍染革indacoを数点、本藍染クロコダイルの時計ベルトも展示。年内最後の出展です。ご覧くださいませ。 「阿波藍魅力発信展覧会2021」 -全国の匠の作品展、大杉隼平 写真展、華道展- 出展期間:2021年12月17日~12月19日 会場  :あわぎんホール(徳島県郷土文化会館) 〒770-0835 徳島市藍場町2丁目14

          展覧会in徳島市

          答え合わせ

          納品後もメンテナンスにお持ちくださるお客様が多く、ありがたく思っています。 使い手の色に染まった品物を見られるのはとても嬉しいですし、手入れしながら長く使い続けたいと思ってくださることは職人冥利に尽きる思いです。そういった理由からghoeでは遠方からのメンテナンスも送料のみのご負担で承っています。 一昨日は「つくってもらって本当に良かった。今こんな感じです」と、以前フルオーダーで製作したiPadと書類を収めるドキュメントケースを持ってお越しくださいました。 日々のおしごと

          答え合わせ

          ふるさと納税で茶利八方

          先月こちらの記事でご紹介した茶利八方の品物が、徳島市ふるさと納税の返礼品としてお選びいただけることになりました。 下記のサイトからお申し込みいただけます。 ふるさとチョイス 楽天ふるさと納税 ふるなび さとふる ghoeのふるさと納税が始まったのは2016年。 徳島市からお声掛けいただき、本藍染革の品物が返礼品に加わりました。当時は全国的に「返礼品は各自治体がとっておきの品物をピックアップしている」という状況で、伝統工芸品や地場産の食品がメインでした。まだ無名だったgho

          ふるさと納税で茶利八方

          茶利八方

          茶利八方(チャリハッポウ)とは植物の渋で鞣された山羊の革「茶利革」に、 縦横斜めからの手揉み「八方揉み」を繰り返し行い、革の表面を隆起させることで深い凹凸を生ませた革。 日本独自の希少な革で、とても美しい革です。 多くの工程を人の手で行なっているため、技術を持った職人にしかつくる事ができないそうです。私が革を始めたときにはすでに途絶えてしまっていて「昔はこんなに凄い革があったのか」とずっと憧れを抱いておりました。 茶利革の歴史明治三年、鞣し産業では遅れていた日本。 大村益次