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【いいね!の科学】15万件のインスタ分析から分かった、魅力的な写真の法則

2021年12月に発表されたロチェスター工科大学の研究です。

インスタで「いいね!」が増えやすいのはどんな写真だと思いますか?

YouTubeを見ていると、目が惹かれてついついタップしてしまうサムネイルとそうでないものがありますよね。

注目を集めやすい写真の法則については「シンプルにすべき」「顔を大きく載せたほうがいい」など今まで色々な通説が言われてきました。

ロチェスター工科大学のヘッシュ・オーバーゴア(Gijs Overgoor)助教授は、15万件以上のインスタグラム(Instagram)の投稿を分析して、「いいね!」が増える画像の法則を明らかにしました

研究によると、写真の複雑性を決める「6つの要素」がその写真のいいねの数に関わっているそうです。

今回は「インターナショナル・ジャーナル・オブ・リサーチ・イン・マーケティング(International Journal of Research in Marketing)」に掲載されたオーバーゴア助教授の論文をもとに、「いいね!」が増える画像の法則を解説します!

写真の複雑性を「見やすさ」と「理解しやすさ」で評価

オーバーゴア教授は過去に行われた研究から、写真の「複雑性」が評価に影響すると仮定しました。

そして写真の複雑性を定量的に評価できるよう、まずは「特徴の複雑性(feature complexity)」と「デザインの複雑性(design complexity)」に分解しました。

特徴の複雑性とは、色味や明るさなど写真がどれだけ「見やすい」かに関わる要素です。あるいは、写真のうち「撮影後でもフィルターで編集できる部分」ということもできます。

デザインの複雑性とは、写っている物体の数や配置など、その写真の意味情報がどれだけ複雑かということです。つまりどれだけその写真が「分かりやすい」かということ。
写真のうち「撮影時に決まってしまう部分」と言い換えることもできますね。

特徴の複雑性を測る3つの尺度

まずオーバーゴア教授は、特徴の複雑性を評価するために対象となる画像の「色のバラつき」「明るさのバラつき」「エッジの密度」を測りました。

  • 色のバラつき…どれだけ幅広い領域の色が使われているか

  • 明度のバラつき…どれだけ幅広い領域の明るさの部分があるか

  • エッジの密度…エッジ(境界線)がどれだけ詰まっているか

これだけだとイメージがつきづらいと思うので、色・明度・エッジでそれぞれ具体例を探してみました。

色のバラつきが高い例
明度のバラつきが高い例
エッジの密度が高い例

デザインの複雑性を測る3つの尺度

次にオーバーゴア教授は、デザインの複雑性を評価するために対象となる画像の「モノの数」「配置のランダムさ」「配置の左右非対称性」を測りました。

  • モノの数…写真に写っている物体の数

  • 配置のランダムさ…物がどれだけ不規則に並んでいるか

  • 配置の左右非対称性…物がどれだけ左右非対称に置かれているか

これらは低い例のほうが分かりやすいと思いますので、それぞれ低い例を挙げてみました。

モノの数が低い例
配置のランダムさが低い例
配置の左右非対称性が低い例

魅力的な画像の6条件

それでは、以上の6指標をそれぞれどんな具合に調整すれば人々に好まれるのでしょうか?

まず、特徴の複雑性を決める「色」「明るさ」「エッジ密度」について。
研究の結果、この3つはどれも「中間程度」がいいねを最も稼ぎやすいという傾向が分かりました。

つまり、程よくカラフルで、程よく明暗があり、程よく線の詰まった画像が良いということ。
感覚的にも「派手すぎる画像は目が疲れるし、地味すぎても目を惹かない」ということですから、納得できますよね。

では次に、デザインの複雑性を決める「モノの数」「配置のランダムさ」「配置の対称性」について。

「モノの数」「配置のランダムさ」の2つについては、「極端に低いか、極端に高いか」のどちらかが適しているということが分かりました。

写真に入れるモノの数を極力減らすか、増やす。
配置するなら規則的に並べるか、最大限不規則に並べる。
どちらか一方に振り切ったほうがよく、中途半端なのは好まれないということです。

そして「配置の左右非対称性」については少ないほうがよい。つまり左右対称に近い構図のほうがよいということが分かりました。

ここまでをまとめると、いいね!を稼ぎやすい画像の条件は以下のようになります。

  • 色のバラつき…中間程度

  • 明度のバラつき…中間程度

  • エッジの密度…中間程度

  • モノの数…すごく多い、またはすごく少ない

  • 配置のランダムさ…すごく不規則、またはすごく規則的

  • 配置の左右非対称性…なるべく左右対称

以上をふまえて、ベストな画像の例を挙げてみました。

「いいね!」が増えやすい画像の例

どうでしょうか?
6つの法則に従って画像を選んで、フィルターを掛けてみただけなのですが、オシャレな写真に見えてくるから面白いですよね!

論文の調査によれば、特徴の複雑性(色・明度・エッジ密度)が最適な写真を選ぶだけで「いいね!」の数が19%も増加することが判明しているんです。

反対にNGな写真の例も作ってみました。

NGな写真の例

色・明暗・エッジ密度は極端すぎるし、被写体の数や配置は中途半端。「特徴の複雑性」と「デザインの複雑性」の両方を潰してしまっています。


今回ご紹介した研究についてさらに詳しく知りたい方は、元の論文に実際の研究で使われた画像の例や解析手法まで載っているのでそちらをご確認ください!

ここまでお読みいただきありがとうございました。

それでは、また👐

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