愛してるゲームを終わらせたいの感想を書く。第二十四話。
一日一話、愛してるゲームを終わらせたいの感想を書く。今日は第二十四話「幼なじみは止められない」です。
前話で唇が触れ合った二人。
動揺するゆきやに対し、ポキットを咥え「折れちゃったから…もう1回。」と再戦を要求するみく。
そんなみくの胸中が分からず考えがまとまらないゆきや。
「今日のみくは様子がおかしい…」と感じつつ、みくの要求に応えます。
そして再び始まるポキットゲーム。
食べ進める振動が伝わる。
揺れる髪。息遣い。紅潮した頬。
そして…再び触れる唇。
もう止められない二人。
みくの腕に手をやり肩をグッと掴むゆきや。
ゆきやの脚に手を添えるみく。
何度も繰り返す。
冥色が漂っていく空。
最後の一本を食べ終える時、ゆきやの唇にはむっとキスをするみく。ゆきやもキスを返し、口づけを交わす。
息が乱れる中、みくは…
「…ドキッとした?」
そのみくの表情に我に変えるゆきや。
走り去るみくの目には涙が浮かんでいた。
私はこの話を読むために、この作品を見始めました。
きっかけは作者のTwitter。おすすめとして第一話などの「愛してるゲームを終わらせたい」ツイートが何度か回ってきていましたが、もうオタクを卒業した身であり今さら新しい何かに熱中できるとも思わず、熱中したいとも思わず、見て見ぬふりをしていました。
去年の5月23日「キスの日」に投稿された、「幼なじみとのファーストキス」のツイートに脳天をぶち抜かれまして、そのあまりに美しく尊い描写に胸が高鳴り、「これ調べたら死ぬなぁ」って思いながら作者名で検索をしたところ、あの「ネクロマンス」の作者様と知りフォローを始めました。(まぁ実際読み始めるまで半年かかったのですが。)
「これ調べたら死ぬなぁ」はそこまで比喩というわけでもなくて。
私は昔めっっっっっちゃくちゃどハマりした作品がありまして。「いちご100%」って言うんですけど。
16巻以降の恋愛漫画としての展開、17巻ラストの東城の告白と開かれる「1508」、ラストの「もう一度あたしをワクワクさせてくれる」などに惹き込まれすぎて、もう作品の世界から抜け出せなくなってしまって、学校サボって漫画を読み耽って、都内に出かけてグッズを買い漁って、引きこもって漫画読んでみたいな生活をしていました。当時これからの進路を決めるという人生のターニングポイントに立っている最中にこんな状態になったもんですから、社会的に死にかけてました。あの時期にあのままの生活をしていたら、大学に進むこともまともな職につくこともなく自堕落な人生に陥っていたのかな…と今でも思います。
そんな中で当時の私はある出会いをきっかけに「いちご100%」に関する全てを封印して、グッズも漫画も全部捨てて、自分の人生に向き合おうと考えるようになったわけです。(その出会いを語り始めるといよいよ本題に戻れなくなるので割愛します。)
それ以来もう20年近く、いちご100%は一度も読んでいませんが、今でも私の心の中に礎として残っている大切な作品です。
さて、だいぶ脇道に逸れましたが、私が初めて愛してるゲームを終わらせたいを、そしてこのポキットゲームを見た時に受けた衝撃は、私にとってのいちご100%の再来を予感させるものでした。
「あ、これ読むからには人生かけるやつだ。」と直感し、大切に思いながら読み始められないまま半年もの時が流れていました。
そうして覚悟を決め、遂に読み始めた愛してるゲームを終わらせたい。本当に素晴らしい作品で、ページをめくる手が止まりませんでした。
そしていよいよポキットゲームが近づいてきたわけですが、この時の私が感じた感情は初めてTwitterで読んだ時の胸の高鳴りとは全く異なるものでした。
艶美で尊く描かれた「幼なじみとのファーストキス」だと思っていたポキットゲーム。しかし実際にそこに至るまでの流れを読み、この時のみくの思いに触れ、(この先の展開まで含めて)、なんと浅はかだったんだと自分を深く恥じました。
背景の空や電灯で演出された時間経過、何度も取り出され減っていくポキット。互いに触れ合い、力が入っていく。
最後の一本を食べ終える時、自分からキスをした時のみくの挑発的な表情。それに応えるゆきや。
みくの悲愴な決意、いつもと違う様子に気付きながら止められなかったゆきや。
まだ付き合ってもいない二人がポキットゲームを言い訳にして何度も唇を重ね、そして最後、お互いが自らの意思でキスをする。
(前話の流れを受けたものを除き)一話を通して唯一声に出されたセリフ「…ドキッとした?」
そのあと目に涙を浮かべ走り去るみく。
全ての描写が美しく、艶美で、惹き込まれ、そして切ない。
あまりに綺麗で甘く苦い青春のきらめきに魅せられました。
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