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愛してるゲームを終わらせたいの感想を書く。第十一話。
一日一話、愛してるゲームを終わらせたいの感想を書く。今日は第十一話「幼なじみは朝に来る」です。
さぁ神回が来ましたね。
第一巻、七話までで二人の距離が近づいて、八話九話で近づきすぎた距離感に戸惑う二人が描かれて、そして十話からの今話ですよ!
この辺で一気にギアを上げてきた感じがします。
今話は、みくが朝の支度をするシーンから始まりますが、1ページめくるとそこには朝のまだ少し薄暗いリビングで一人朝食を取るみくの姿が描かれています。
ここのシーン印象的ですね。
きれいに盛りつけらえた朝食。明るさが抑えらえたリビング。そこで一人「んーっ!うまっ!」と朝食を頬張るみく。おばあちゃんと楽しそうにチーズカツを揚げる幼少期のみくの姿と、そんな思い出に少し寂しげなみく。
2ページ目の描写だけで、みくの境遇を察するものがあり、それはこれまでに描かれたキラキラした幼なじみとしての姿とまた違う一面が描かれています。
3ページ目、ママにお弁当を包んだみくの明るいメッセージは心に沁みますね。
そのあと「ぱんっ」と手を叩き「ごちそーさまでした!」と勢いよく立ち上がる描写を入れた後、みくが手にしたのはヘアミルク。
「むふっ」と不的な笑みを浮かべる姿はさながら魔性の女です。
ここの空気を変える描写も丁寧ですね。
最初3ページでみくの境遇を描写して少し静かな出だしにしたところ、この2コマでいつもの空気感を持ってきてくれました。
その頃ゆきやは玉子焼き作りに苦戦中。
焦げ焦げの玉子焼きを食べているところにみくがやってきます。
玄関を開けると髪を下ろしたみくの姿が!
「ちょっとお願いがあってさ…」
「昨日、体育で突き指しちゃって、髪が上手に結べなくって…」
「だから…髪…結んでくれない…?」
と照れくさそうに頼むみく。
ゆきやが心配しかけたのも束の間、
「これ…ゲームだな!?」
そこには明らかに強者の風格を漂わせたみくの姿が(笑)
「心の準備が整わない朝の時間狙って」
「奇襲を…」
ここの「きれいに結んでね?」のコマは眩しすぎて浄化されそう!
さて、わかなの身支度で鍛えられた編み込みのテクニックから「髪結ぶくらいどうって事ないわっ。」と強気なゆきや。
「こんな…髪触らせてドキッとさせようったって…」と髪の毛に触れたここの描写!
みくのサラッサラな髪の毛と、それに触れたゆきやの感覚、そして自分から仕掛けに来つつも、やはり少し緊張した様子のみく。
ここの表現力はさすがの一言!二人のドキドキが一気に伝わってきます。
「なんか…つけてきただろ。」と聞くゆきや。
その質問に「ふふぅーん!そーっ!パパが昨日送ってくれたんだー。」と嬉しそうに返すみく。
朝早くから特別気合いを入れて準備してきたもんね。こういうとこしっかり気づいてくれるところ、ゆきやの長所ですわ。
そして「突き指は嘘」とあっさり見抜いたゆきやも反撃に出ます。
「朝からこんな手の込んだ事までして…」
「ほんと、甘えただなお前は。」からの頭ポンポンなでなで!みくは動揺を隠せませんが、これで終わらないのがキショゆきや。
結んだ髪を手に取ると、あろうことか「ちゅ…」
この12ページ左下コマのみくの表情は完全にホラー漫画のそれ!
ゆきやのドヤ顔に「なになになにキモ!!なんでそんな事していいと思ったの!?」と顔を真っ赤にしてどストレートに返すみく。
ここは少女漫画テクが不発だったというよりは、頭ポンポンなでなでまでで止めておけば、効果はばつぐんだったのでは?という気もしないでもないところ。
攻め込みにきたはずが予想外の反撃を受けたみくも、ゆきやの耳たぶを「クニクニ」し精一杯のアタックをしかけます。
ゆきやに「お前の方がやわらかいだろ自分の触っとけよ」と言われ、「じゃあ…比べてみる…?」と耳を出すみく。
この15ページ中段コマとかそうですが、みくって勇気出す時いい表情が挟まれますよね。「ゆきやをドキドキさせたい!そして可愛いって言ってもらいたい!」の気持ちが強くて、結構意地っ張りで引くに引けない性格なんだなーと気付かされます。
そしてゆきやがみくの耳たぶに手を伸ばす16ページは、すごくアニメ的で繊細な描写が詰まっていて、驚くゆきやの表情から恐る恐る伸ばす手、少し躊躇い、いざ手を伸ばしたところで、わかな登場!
そりゃ朝っぱらから玄関先でこんなことしてたら、こんな顔になりますわ(笑)
二人して必死にごまかし、ゆきやの照れ隠しのウザ絡みを横目に見ながら自分の家に戻るみく。その頭には、あの時と同じ温もりが残っていて。
ここで冒頭の描写に戻っておばあちゃんに頭を撫でられる姿が入ってくるのきれいですね。
そして俯き加減に朝ごはんを食べていた姿とは対照的に、少し上向いて「また…髪結んでもらおうかな…」と思うみくと光の差し込むリビングの描写が美しい今話でした。
出だしでみくの境遇が語られて少し静かな始まりとなりましたが、ゆきやとのゲームを通じて温もりに触れ、朝ごはんの時とは対照的なみくの表情とリビングの明かりが描写されて、めちゃくちゃ好きな回です。
堂本先生はこういう空気感をとても丁寧に書くところが大きな魅力ですね。