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キャラクター⑤工藤真司、星とカメラと協力者(『トラペジウム』アドベントカレンダー2024・全25回の11)

映画『トラペジウム』の準メインキャラクターにして、唯一の同年代男性。
主人公・東ゆうの「計画」を初めて―――そしておそらく「唯一」―――打ち明けられ、協力することになる。

工藤真司。西テクノ高等専門学校2年生。16歳。
主人公・東ゆうとは、東ゆうが大河くるみと「友達になるべく」西テクノ高等専門学校に訪問した際に知り合い、協力することになる。
星が好きで、最初は天体写真を撮るためにカメラを手にするが、それがきっかけで現在はカメラ撮影自体が趣味。

大河くるみとは同じ学校で、同じ部活「ロボット研究会」に所属する。学校へは自転車で通っている。細かい話だが、徒歩以外の通学手段が明らかなのは(さらに言えば"自前の移動手段"を明らかに持っているのは)作中で唯一だったりする。
ロボット研究会の活動にはあまり熱心に参加しておらず、半ば幽霊部員的存在だが、それが故に、ロボット研究会の主流派と(物語開始当初)対立していた大河くるみとの仲も良好なまま。

趣味兼特技のカメラについては、アニメ劇中では「SONY α7シリーズ」の本体に、「COSINA Carl Zweiss Planar T* 50mm F1.4 ZK」レンズを「KIPON PK-FE」を装着して使用している。16歳にしてはなかなかの装備。
「ZK」というペンタックス用レンズを、マウントアダプター(メーカー・機種ごとの規格を変換して装着できるようにするパーツ)を使用してSONYのカメラに装着しているあたりに、どちらか、又は両方が貰い物だったり、格安品の掘り出し物だったりするのかもしれない。高校生(相当)だし。

劇中では、東ゆうの(他の東西南北のメインキャラクター3人にも明かしていない)夢や計画を打ち明けられたり、それに様々な形で協力したりと、なかなかの活躍ぶりを見せる。
しかし東ゆうと本編劇中で恋仲になるかというとそうはならず、あくまで彼女の夢の理解者・協力者・応援者として引いた立場を保つ。

余談の域ではあるが、原作小説〜アニメ映画〜アニメ映画の児童向けノベライズと『トラペジウム』のメディアが変わる中で、彼は人格や立ち位置こそ変わらないものの、学年が違ったり、セリフや距離感にアレンジが入ったり、使用するカメラが違ったり、アニメでは描かれなかった進路が明言されたりと、細かい部分が最も変化する。
特に「距離感」については、原作小説からアニメ映画になる中で、原作者である高山一実氏の了解のもとで敢えてアレンジがなされた旨を、各種インタビューで拾うことができる。

インタビューといえば、アイドルグループ「JO1」の木全翔也氏が声優として演じている関係上もあり、「工藤真司役・木全翔也」としてインタビューと出演が雑誌10誌・Webメディア9社10回・TV3回を誇り、これは篠原正寛監督(雑誌2誌)、主人公・東ゆう役結川あさき(雑誌4誌・Web5回)を圧倒する数となっている。
また、このような「本業の声優ではない芸能人の声優起用」で言われがちな「演技への違和感」といったものは、今作の工藤真司役について言うならば全くない。

最後にメタな話をすれば、作品タイトルの『トラペジウム』とは、オリオン座の中にあるオリオン大星雲(M42/NGC1976)の中心部の散開星団・四重星の名前であり、メインキャラクター4人はそれに準(なぞら)えるような当て方をされている。
彼女たちが「星」であるからには、活動を見届ける彼は「地上の観測者」であり「カメラ」でもある……という立ち回りではある。しかし、彼は随所でそれを超えるような活躍を見せる。
「だから」なのか、ラストシーンではオリオン大星雲の隣に寄り添う散光星雲(M43/NGC1982)を示唆するような演出がチラッとだけ入る。
そう、「彼も"また"、星」であるかのように。

『トラペジウム』関連BDDVD・原作・サントラ:


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