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晴れ時々…
どうも。
KONGです。
今回も、前回の警備バイトの話の続きをお届けするですぞ。
(前回https://note.com/getbillmonkeys/n/n1aab1885c908)
工事現場の安全を守るスーパー警備員として働き、数日が経ったKONG。
現場の班長・・・
「アスファルトダイバー」のタカハシさんとも
少し距離が縮まり、同じ現場の人達とも世間話ぐらい出来るようになった日の事。
その日は、初めて会うフジタさん(仮)が加わっていた。
警備会社としては大先輩で、KONGが初出勤した日から別の現場に出ており、
もちろんタカハシさんもフジタさんを知っていた。
いつも通り朝礼を行い各自配置につく。
配置は30メートル間隔ぐらいで3人が並び、
① 道路工事中の看板の前で、工事現場に入ろうとしてきた車に迂回を促す。
② 工事をしている場所の一番近くに立って、①を無理やり突破してきた車を誘導する。
③ 万が一、反対側から来た車に迂回を促す。
このポジションをローテーション。
正直、②番が一番精神が削られる。
そもそも進入禁止の看板があるので、
無理やり入ってくる車なんて1日で1台あるかないかぐらいだから暇なのだ。
(しかし逆に言うと、1日1台くらいそういう怖い車がいるのだ、この世の中)
誘導棒で軽く素振りをしたり、カラダをプラプラさせながら頭の中で歌を歌うぐらいしかする事もない。
そして仕事中・・・。
「休憩ですぞ!』」
休憩回しが始まり、タカハシさんが、
次に休憩に入るKONGとポジションを交代しに来てくれた。
ですぞじゃねえよ。
あんたが普通に喋れる事、もうみんな知ってっかんな。
普通に喋れや!!
勿論、そんな事はおくびにも出さない。
そしてKONGがその場を離れようとすると、
タカハシさんは思い出したかのようにこう言った。
「あ。フジタさんって少し変わっている所あるけど、良い人ですぞ。
気になる事言われても、気にしない気にしない!」
気になる事を気にしないのは無理ですぞ。
そう思ったが、勿論これも絶対口にしない。
KONGの次に休憩に入るのは②番に立っているフジタさんだった。
交代をしに②番のフジタさんに近づいて声を掛ける。
「フジタさん、休憩どうぞ」
・・・が、フジタさんは動かない。
誘導棒をプラプラさせて一点を見つめたまま動かない。
「次、休憩どうぞ!」
と、もう一度声をかけた。
するとフジタさんは驚く事もなく・・・。
「あ~ぁ・・・。
また・・・ここに来ちゃったよぉ・・・。
・・・この○×△%☆が嫌でさぁ・・・。
前にバックレた奴も多分ここに×△□#€*んだよなぁ・・・。
・・・だから俺がまた♢€%○〆きゃ行けなかったんだよなぁ…」
と、何やら妙なことをぶつくさ言い出した。
タカハシさん。今の所、フジタさんは変わってる所しかありませんぞ。
これを、気にしないのは一休さんぐらいですぞ。
そうKONGが思った時にフジタさんは、
「あのビルには気をつけてぇ~」
と、②番の位置から見える、ある古い小さなビルを顎でクイッと指し、
トボトボと休憩に向かっていった。
・・・ビルに気をつけるって、何???
それはなんの変哲もない、5階建てくらいのビルで、
壁面に非常階段が付いているタイプだった。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/84513844/picture_pc_4420f0b183b9a8004f9bd291dfdfe5a9.jpeg?width=1200)
気をつけろとは言われたものの、気にする事により、
ビルの模様がだんだん人の顔に見えてしまったりするかもしれない。
なるべくそのビルの方は見ない方が良いだろう。
そう思いながらKONGはその場にずっと立っていた。
しかし。
何も変化のなかった視界の片隅に、動きがあった。
そのビルの非常階段の上部の方。
手すりを超えて。
人が地面に落ちたのが見えた。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/84513890/picture_pc_0fb8f3122223696c30010e3ac03d6f46.jpeg?width=1200)
正直言うと、人のようなものが落ちた。
人ぐらいの大きさの何か。
人生で、目の前で高いところから人のような物が落ちる様子なんて見たことなかったので、
本当に人が落ちたのか?もしくは別のものか?その場で判断が出来なかった。
でももし、人だったら?
あの場所に誰かが向かった方がいい?
「とにかく報告しなければ」
と怖くて足もガクガクしていたが、小走りで、タカハシさんの所に向かっていた時だった。
ビルの非常階段を、たどたどしい走り方で登っていく影がいた。
バタバタ。
ドッタドッタ。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/84514157/picture_pc_eac1d95a9e3531de0f36cbd86636b221.jpeg?width=1200)
バタバタ。
ドッタドッタ。
そしてその影は、一番上の踊り場で手すりを掴み。
外に向かって鉄棒の前回りするように。
また落ちた。
その様子を中途半端なポジションで『ボーッ』と見ていたKONGに誘導棒の光が入った。
タカハシさんが誘導棒をこちらに向かって振りながら、ジェスチャーで
『戻るんですぞー』
と指示していたので、言われた通り戻った。
ビルで見た光景の事は、口に出せなかった。
そして、その後。
KONGがまた②番に立つ度、その影が何度も目に入るのだった。
バタバタ。
ドッタドッタ。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/84514182/picture_pc_cba9ec828aecb9f449dfce883cae52b4.jpeg?width=1200)
バタバタ。
ドッタドッタ。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
上っては落ちる。
『いつかコッチに走ってくるんじゃないか…』
そんな考えがよぎり(実際はそんな事は一度もありませんでした)
この日からこの現場に来るのが怖くなったKONGでした。
まだまだ暑い日は続きます。
それでは、
また!!!