アメリカ大統領選挙。永住者のわたしはこう思った
投票から一晩たって、朝起きたら結果が出ていた。
ベッドに横たわったまま、無言で携帯を置いた。
朝からメディアがこぞって選挙結果を伝える一方、巷での反応は静かなものだった。子どもたちをスクールバスのバス停まで送り届けたとき、ご近所さんたちと顔を合わせたけれど、大統領選の話を持ち出す人は一人としていなかった。
関心がないわけはない。でも、おおっぴろげには誰も話さない。喜んでいる人もいるだろうし、がっくり肩を落としている人もいるはず。
わたしはアメリカの永住権は持っているけれど、市民権は持っていない。だから、投票権がない。
でも、この国に住んでいて、夫と子どもはアメリカ国籍を持っている。これからもアメリカに住んで、ここに骨を埋めるつもりでいる以上、この国のゆくえは決して他人事ではない。
言ってしまえば、先日の日本の衆議院選挙よりも、アメリカの大統領選挙の方がわたしにとっては身に迫るものがある。新しい大統領の率いる船に、わたしたち家族は乗るのだから。
これからの4年で、この国はどのように変わっていくのだろう。アメリカが国際社会で築いてきた地位はどのように変遷していくのだろう。日本にかかわるところ、つまり、日米関係への影響、アジアの安全保障環境にどのような変化が出るのか、といったことには、当然ながらとても関心がある。
一方で、アメリカ国内への影響を想像するとき、胸の内はずんと暗くなる。ただでさえ歴然と存在している分断が、これから一層進むのではないか。大統領がその地位を利用して、個人的な利益を追求するのではないか。政治不信が強まり、さらなる対立を生むのはないか。
アメリカという国を内側から蝕むことにならなければいいが。願いというより、祈りに近い。わたしたちの乗る船は、この4年を乗り切ればいいわけではない。子どもたちの未来にわたるまで、いやそれより先も、頑丈な船であってほしいのだ。今度の大統領にそれができるのだろうか。
選挙権がほしい。
今日ほど切実にそう思ったことはない。
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