子供が鏡に映ったような左右反対の文字を書くことについて
5歳の息子は、割と頻繁に、ひらがなを鏡に映したように左右反対に書く。
ひらがなに限らず、アルファベットや数字でも同じことが起こる。記憶が定着していないのかなぁ、くらいに捉えてあまり気にしていなかったのだが、先日、数字をこんな風に書いていた。
一つの数字を左右反対に書いただけなら、いつもどおり「間違えちゃったねー」で済ませたと思うのだが、一つ一つの数字がことごとく左右反対で、本来なら左から右へと書き進めるべき向きまで鏡に映したように逆になっていたので、なんでこうなるんだろう、不思議だな、と心に引っ掛かった。
その場ですぐ調べてみたら、どうやらこのように左右反対に書かれる文字は「鏡文字」と呼ばれ、幼児期にはよく見られることらしいことがわかった。
鏡文字とは
上下はそのままに、左右が鏡に映したように反転している文字のこと。横書きであれば、本来なら左から右に向かって書くはずの文字が、右から左に向かって書かれることもある。
鏡文字を書いてしまう理由
いろいろ関連サイトを参照してみたが、いくつか考えられる説はあるものの、定説があるわけではないようだ。現在、考えられている理由を以下にいくつか挙げてみる。
左右の認識が困難だから
幼い子供にとって、上下や前後は比較的判別しやすいが、左右の判別はそれに比べると難しいので、間違えやすい。
左脳が未発達だから
右脳は感性や感覚を、左脳は言語などの論理的な思考を司っているといわれる。幼い段階では、左脳が未発達なため、目で見た情報が右脳に伝わっても、左脳で処理される段階で誤って鏡文字としてアウトプットされる。
文字を形として認識しているから
幼い子供は、ひらがなやカタカナを文字としてではなく、形として認識しているので、左右が反転しても気がつかない、または気にならない。
(ここからは考察)
でも、もし文字を形として認識しているから左右に反転しても気がつかないのだとすると、前後に反転するタイプの鏡文字がほとんど見られないのはなぜかという疑問が残る。この点に関連して、あるサイトで面白い説明がなされていた。
私たちは、絵を描くとき、この世界に実在する3次元のものを2次元の紙の上に表現する。子供は「文字」をこの世界に実在する3次元のものと同じように認識し、それを「絵」に描いているのではないかということだ。つまり、絵の中のライオンが右を向こうが左を向こうがライオンであることには変わりがないように、ひらがながどちらを向いていても同一だと認識しているのではないか、という視点である。
鏡文字を書く子供への対応
発達障害を持つ子供に鏡文字を書く特徴があることから、心配してしまう保護者もいるとのこと。だが、大抵の場合、脳の発達に伴い、5、6歳を過ぎると、次第に正しい文字を書くようになることがほとんどだと書いてあるサイトが多かった。
我が家の場合は、「あれ、また反対になっちゃったね。次は気をつけて書いてみようか。」くらいの指摘にとどめて、見守ることにしている。
まとめ
これまで、単に息子の書き間違えだと思っていたものが、調べてみると、うちの子に限らずよくあることで、様々な研究がされていることもわかった。
特に、鏡文字を書いてしまう理由として、幼児は「文字」を実在する3次元のものと捉えているかもしれないという視点は、とても面白いなと思った。この説が正しいのかは判断できないが、子供の目を通して見えているこの世界が、私たち大人とはどれくらい違っているのか。かつて私も通った道のはずなのに、成長に伴って見えなくなってしまったものがあるような気持ちになった。
【参照したサイト】