
【読書】阿津川辰海さんの作品3冊【ミステリー】
お久しぶりです、花車です。
クリスマスが楽しかった方も大変だった方も、皆さまお疲れさまです🎄
今年の読書について振り返ってみると、昨年ほどは読めませんでしたが、今年も100冊は読むことができました。
特に年の後半は、ミステリーばかり読んでいた気がします。
今月、すっかりはまったのは、阿津川辰海さんです。これまでもその作品を読んだことはありましたが、ふと手に取った短編集がとても面白く、そのままの勢いで他の作品も読みました。最近読んだ3冊を紹介します。
1.『透明人間は密室に潜む』
『透明人間は密室に潜む』阿津川辰海#読了
— 花車📚 (@gerbera_reading) December 19, 2022
透明人間が存在する社会での殺人事件を描く表題作はじめ、様々な短編を4つ収録。
透明人間の世界もアイドルオタクの裁判員も他の設定も、どこかリアリティがあって、お話に入り込みやすかった。どの作品も面白く、作者の短編を他にも読んでみたくなった。
この作品の魅力は、「リアリティ」だと思います。たとえば、透明人間自体は非現実でも、透明人間の存在を前提とした社会の描かれ方は非常に現実的で、もしかしたらこのような世界になることがあるかもしれない、と感じさせられます。コロナではなく透明人間病が流行したら、きっとそうなるのだろうという世の中が描かれていました。
ミステリーの読者は、吹雪の山荘や孤島の洋館が現実にあるかはともかく、「現実にありそうな」事件と論理的な解決を求めていると考えられ、そこに特殊設定の難しさがあると思いますが、この作品はリアリティと特殊設定が両立していて素晴らしいと感じました。
2.『入れ子細工の夜』
『入れ子細工の夜』阿津川辰海#読了
— 花車📚 (@gerbera_reading) December 21, 2022
コロナ禍における事件を描く、ミステリ短編集。4編が収録されている。
『二〇二一年度入試という題の推理小説』が一番好きだった。楽しく読めて笑えるけれど、実際にコロナ禍で大変だった受験生に思いを馳せたり、作者のミステリ愛をたっぷり受け取ったりした。
読了ツイートでは『二〇二一年度入試という題の推理小説』を取り上げましたが、他の作品も面白く、とても豪華な一冊でした。
表題作は、お話の構造が入れ子細工のようになっていて、読み進めるうちに事件の形が何度も変化するのが楽しいです。
既にたくさんのミステリーが世の中にある今の時代に、読者に「おっ」と思わせる新しくて面白い作品を書くのは本当に大変だと想像するのですが、作者が様々なミステリーを読まれて丁寧に研究されて、そして新たな発想を得て、また素敵な作品を生み出していらっしゃることに感動を覚えました。
3.『録音された誘拐』
『録音された誘拐』阿津川辰海#読了
— 花車📚 (@gerbera_reading) December 25, 2022
この前にツイートした短編集2冊が面白くてはまり、今月3作目の阿津川さん作品。短編集にも登場した、探偵事務所長の大野と、耳が抜群に良い美々香による長編だ。
緻密な論理が積み重ねられた作品で、不思議だったことに次々と説明がなされる展開が圧巻だった。
こちらは長編です。1冊目の『透明人間は密室に潜む』に登場した大野・美々香のコンビが描かれます。
何か事件が起こり、それを二人が解決していく、というストーリーではなく、二人も当事者となっているお話です。冒頭からなかなかショッキングな場面で、心配になりましたが、二人を信じて読み進めていきました。
事件の全体像や登場人物、ことを上手く運ぶための小さなトリックまで、どこをとっても非常に贅沢な作品でした。
大野・美々香のコンビとまたどこかで出会えたら嬉しいです。
阿津川辰海さんの作品で最近読んだもの3冊を紹介しました。
皆さんもぜひ手に取ってみてください!
私も、来年になってしまうかもしれませんが、他の作品も読んでいきたいと思います。
本記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
またお会いしましょう💫