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【日向坂文庫#12】『ぶたぶた図書館』矢崎存美(表紙 丹生明里)


久しぶりになってしまったが、日向坂文庫12冊目を紹介したい。ここから後半だ。


今回読んだのは、『ぶたぶた図書館』(矢崎存美著)。20年以上愛されているぶたぶたシリーズの16作目である。見た目は可愛らしいぶたのぬいぐるみだけれど、動くし喋る、中身はおじさんの「山崎ぶたぶたさん」が登場する。


表紙は、日向坂46の2期生、丹生明里さん。先日発売になった5枚目シングルの表題曲でフロントを務めたり、ドラマでW主演をしたり、多くのテレビ番組に出演したりと大活躍のメンバーだ。


ぬいぐるみおとまり会



本が大好きな中学生の雪音と司書の寿美子は、ぬいぐるみを図書館で預かり、一晩のぬいぐるみの行動を写真で撮る「ぬいぐるみおとまり会」を企画する。


その実現に向けたプレゼンのため、ポスターに使う写真を準備しようとしたとき、雪音と寿美子は、写真の上手な人や良いカメラがなければ素敵な写真は撮れないことに気付く。


そこへ、カメラを持ったぶたのぬいぐるみ、ぶたぶたさんが現れる。


家族との気持ちの微妙なずれに悩む人々



この本は、最初の章では雪音、次の章ではぬいぐるみおとまり会のカメラマン秀、最後の章では寿美子の姉で本好きな娘の美帆を持つ彩子にスポットが当たっている。


皆、家族との気持ちの微妙なずれ、すれ違いに悩む人たちなのだ。ぶたぶたさんは、彼らを直接励ますというわけではないのだが、その存在によって、彼らが前を向いていくのにほっこりした。


皆が、ぶたぶたさんをすんなり受け入れているのも素敵な世界観だ。ぶたぶたさんがこの世界に現れたとき、あり得ない、と思わず受け入れられる柔らかさを持っていたい。


この本を読み終えたとき、家にあるぬいぐるみがより愛おしく思えた。


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