【読書】『クリスマス・プディングの冒険』アガサ・クリスティー【クリスマス読書②🎄】
クリスマス気分を味わうため、12月にはクリスマスに関連する本を読みたい、ということで、今回は『クリスマス・プディングの冒険』(アガサ・クリスティー 著)を読みました。
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6つのお話
この本には、表題作の『クリスマス・プディングの冒険』を含め、6つのお話が収録されています。
『クリスマス・プディングの冒険』🎄
ポアロは、外国の王家のルビーを取り戻すという使命を背負って、クリスマスにイギリスのお屋敷に滞在することとなります。
雪、クリスマスツリー、カキのスープ、七面鳥、指輪などを中に入れて誰に当たるか楽しむプラム・プディング。イギリスの伝統的なクリスマスの裏で、子どもたちがポアロを驚かせるためにある計画をしたり、ポアロの部屋に秘密の手紙が置かれたり、様々な出来事が起こります。
『スペイン櫃の秘密』
リッチ少佐が親しい人を招いて開いたパーティ。翌日、急用でパーティを欠席したクレイトン氏の死体が、リッチ少佐の居間のスペイン櫃の中から発見されました。
リッチ少佐が容疑者として拘束されますが、リッチ少佐が夫を殺したのではないと考えるクレイトン夫人の依頼を受け、ポアロが調査に乗り出します。
『負け犬』
ルーベン・アストウェル卿が、「塔の部屋」と呼ばれる書斎で殺害され、甥のレバースンが逮捕されました。
状況は明らかにレバースンに不利に見えますが、レバースンではなく、ルーベン卿の秘書のトレファシスが犯人だと考えるアストウェル夫人の依頼を受け、ポアロが事件の全容を解明していきます。
『二十四羽の黒つぐみ』
必ず毎週、火曜日と木曜日にレストランに現れる老人が、ある週、突然月曜日に現れた上、これまでの好みとは全く異なる注文をします。
その後、彼はレストランを訪れなくなりました。この話を聞いたポアロは、事件の存在にはっと気付き、行動を開始します。
『夢』
ポアロは、大金持ちのベネディクト・ファーリーから相談があると手紙を受け取ります。訪問して話を聞いてみると、ファーリー氏は毎晩、ピストル自殺をする夢を見るというのです。
1週間後、ファーリー氏がピストル自殺をしたと聞き、ポアロはファーリー氏の館に駆けつけます。
『グリーンショウ氏の阿房宮』
最後はミス・マープルものです。「グリーンショウ氏の阿房宮」と呼ばれる風変わりで大きな建物に住んでいるグリーンショウ家の老嬢が、矢によって殺害されます。
しかし、老嬢が叫び声を上げたそのとき、彼女を殺害する動機がある者には皆、アリバイがありました。ミス・マープルは、視点を変えることで、この事件の説明を導き出します。
読み応えのある短編集
どのお話も読み応えがあって、たっぷりと楽しむことができました。中短編という感じがあまりせず、何冊もの本を読んだかのような満足感を味わえました。
表題作は、クリスマスのご馳走が本当に美味しそうで、イギリスの伝統的なクリスマスに憧れます。色々な要素があって深みがあるのに読みやすく、クリスマス気分が堪能できるので、ミステリー初心者の方にもおすすめです。
表題作以外のお話も、どれも面白かったです。特に、『負け犬』でポアロが粘り強く核心に迫っていく姿と、『二十四羽の黒つぐみ』でレストランの注文から広がっていくストーリーが心に残っています。
もうすぐクリスマスですね。この時期にぴったりの一冊、ぜひ手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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