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ジブリ、こんな映画興収ランキング見たこと無い

コロナ禍の影響で休館していた、各地の映画館がふたたび再開しています。それに伴い、しばらく稼働していなかった映画の興行収入ランキングも動きはじめたのですが、先週と今週のランキング結果が、なかなかすごいことに。

1〜3位を独占したのは「ジブリ映画」

多くの日本の映画サイトで参照元となっている、「興行通信社」発表の週末映画ランキング。1位〜3位は以下の通りです。

1位『千と千尋の神隠し』(先週・1位)
2位『もののけ姫』(先週・2位)
3位『風の谷のナウシカ』(先週・3位)
興行通信社発表より

2週に渡って、ジブリ作品が1〜3位を独占しているのです。しかも、過去の作品。算出は興行収入が元です。それだけ観ている人がいるってことです。

こんなナニコレな珍現象が起きているのは、「一生に一度は、映画館でジブリを。」と題して、全国372館の劇場で過去のジブリ作品を上映する取り組みが行われているから。

ちなみ上映されているのは4作品。残りの1つ『ゲド戦記』で先週が9位、今週が8位と他の3作品とは差があるものの、2週続けてTOP10内をキープしています。

様々な事情から映画館で再上映されづらかった名作

私も『風の谷のナウシカ』を観てきた1人。

公開時はまだ小学校1年生とかで、それ以降は定期的に金曜ロードショーあたりでテレビ放映されてきたので、映画館で観ることなんて、もう無いと思っていました。二度とない機会だろうとの思いから、観てきたわけですが、実によい体験でした。

映画関連のサイトで、ライターおよび編集者として仕事をしてきたので、これまでも散々「映画は映画館で観よう!」と伝えてきたのですが、自分自身がこれほどまでに「映画はやっぱり映画館で!」を感じることはなかったかもしれません。

数々の名作を映画館で観るべき作品だと説明しようとしても、まだDVDやブルーレイにもなっていない段階で、映画館で観るべきかどうかを伝えるのは難しかったのは事実。

Netflixのオリジナル作品『ROMA/ローマ』あたりが、米アカデミー賞をはじめとする映画祭で受賞して、映画館で上映を!と盛り上がった事例もありますが、これは配信→映画館と少々毛色が違います。

過去に映画館で上映され、その後に名作となった作品は、テレビでバンバン放映されちゃうので、映画館で上映されにくい。過去の名作を取り扱う名画座あたりでも、アニメ作品はあまり上映されないし、加えて大人の事情でなかなか上映されなかった。そう、それがジブリ作品なわけです。

付加価値ではなく、当たり前の「体験」が売り

名作の再上映では「映像がリマスタリングで高精細になりました!」であったり、「最新のドルビーなんちゃらで最高級の音に!」であったり、「応援できます!すっごい大きな音で観れます!」であったりと、付加価値で呼び込みをするのが通例。

今回も4k仕様(?)にはなっていたようですが、そんなことが売りなのではなく、ただ「映画館で観る」という、当たり前の「体験」が売りでした。

そして、私もそうでしたが、実際にそれを体験して、めちゃくちゃ痛烈に感じるのです「映画は映画館で観よう」と。

「映画を観る」を思い出させてくれた

『風の谷のナウシカ』自体を観たことはありました。しかし、細かい場面をすべて覚えるほどのマニアではなく、ストーリーがぼんやりわかる程度。テトがナウシカの手を噛んで「怖くない」というシーンは、五代目尾上菊之助さんの歌舞伎バージョンに脳内変換されてしまうレベルです。

だから良かったのかもしれませんが、観てきた感想はとにかく「最高、、、」でしかなかったのです。

映画館全体もそんな感じでした。終わった後にお手洗いにいくと、友人同士できたであろう、ちょっとチャラ目な20代くらいの男子ふたりが「最高だった」「おまえ、まじで今日さそってくれてありがとぅ」と言い合ってて、ちょっと恋が始まりそうな勢い。

泣いている人も少なくありませんでした。終わった後の余韻もずっと続いていて「あのシーンが良かった」だとか「あのシーンで涙腺が壊れただ」の言い合う光景に、ああこれが映画という体験だったなと久々に感じました。

名作の力は半端ないって

コロナ禍の影響で、映像作品こそ家で観れちゃうからそれで良いなんて声もありましたが、名作とはそういった御託を全部ひっくるめてぶん殴ってくれるほど力があるんだなと。ほかの3作品も、観たくなってきたことは言うまでもありません。

「最高」って言葉は、こういうときに使うもんですね。



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