1-1グループワークって何だ?~グループワーカー感覚

「グループワークって何ですか?」
私たちの会社の不思議なところは、その質問をすると、
「それは実践の中で身につけるものだよ・・・」
と言葉を濁す人が多いことだ。本当のところは、誰もが知っているがあまりつっこまれたくないというのがグループワークなのかもしれない。しかし、ボクの性格上、このことをつきつめてとらえない限り、仕事としてのグループワークは難しく、入社当初はこの答えを探しまわっていた。
グループワークの大家であるSJ先生は、大きな辞書を出して、ソーシャルワークの中にグループワークと、ケースワーク、コミュニティオーガニゼーションというのがあると教えてくれた。つまり、社会事業の中にグループワークという手法があるというのだ。・・・それはよいが、それがどう仕事に活きるのか?
ボクのうやむやははれないまま、次に出会ったのがS館長である。この人は大人物である。職員として必要なことは、
「どんなときにも笑顔でいることだ」
とおっしゃった。当時のボクには、何のことかわからなかったが、どんな時にも笑顔を貫くというのは、いかにつらいことか
今更ながら思い知った。
それはともかく、グループワークとは何か?
「グループがよりよい活動するために、グループワーカーがどう動くか」
ということ。
ボクはこれで納得した。
今まで、ボクはグループを何とかしよう、青年を何とかしようと試行錯誤してきたが、この考えは「自分がどう動くか」が鍵である。動くのは誰かではなく、ボクなのだ。
よいグループとそうでないグループというのは、なんとなくわかる。
最低限のこととして、自分たちのことを自分たちでできること。
そして、次の目標をみつけて、協力しながらチャレンジできること。
こう書いてみると、まったく都合がよくできている。そのためにもグループワーカーの役割は、コレといったことをすればよいのではなく、彼らが自主性を持って活動するための、きっかけを作っていくのだ。それは、打ち合わせをする際に、全員に連絡がいくことなのかもしれない。ミーティングの時に、誰かが発言したことをメモして、次に活かすことなのかもしれない。誰かの困ったなあ・・・という声を聞いて、みんなに問いかけることなのかもしれない。ただ、そのどれもがグループが活性化するために、今そのときに必要なことなのだ。
グループワーカーの役割とは、次のリーダーを生み出し、自分がいなくてもそのグループが機能することにある。極論を言えば、自分の存在が必要でなくなること、そのことを想定して関わるのがグループワーカーである。グループワークって何ですか?という問いに、渋い顔をしていた諸先輩の表情は、そんなに簡単に言えるものではない・・・ということを語っていたのかもしれない。


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