見出し画像

学習者が自由に動き回る環境下での自動行動追跡と分析(論文メモ)

2022年も論文を読むぞー(棒)。
今は学習科学・認知科学・情報科学が交わる分野に興味を持っている。今回読んだ論文は以下のとおり。間違った解釈があるかもしれないので注意。
Automated Tracking of Student Activities in a Makerspace Using Motion Sensor Data (G. Sung et al., 2021)

概要

ものづくりを通した協調学習の場(メイカースペース)において、モーションセンサーKinectを用いて学習者の行動を自動で追跡する手法を提案。時系列行動データとサーベイデータの分析によって、意欲が削がれた学習者を発見した。特に、一人でいる時間や空間内で訪れる箇所の数がモチベーション度合いを測る重要な指標であることが明らかになった。

新規性/優位性

学習者がダイナミックに行動する状況下では、教育者の支援が必要な学習者を見つけづらい。
→ 自動で各学習者のロケーションを追跡する手法の実装。
→ 学習者の行動パターンを明らかにし、支援が必要と思われる学習者を特定。

アプローチのキモ

・個別追跡:顔認識による追跡データの個別抽出→行動データを空間データにマップ→複数センサーデータの重複除去→行動ラベル付与
・データ分析の指標:他者といる時間(1m近接)、孤独でいる時間、空間滞在時間、空間内の特定箇所間の移動回数

有効性の検証方法

・追跡データとサーベイデータ(学習者のセルフレポート)の統合的分析

議論・リミテーション

・学習者の行動状態をカテゴライズするためのラベルが粗く、精緻化が必要
・学習者の行動パターンのモデル化(機械学習モデルの構築により主観的データへの依存を減らす)
・学習者を適切なタイミングで支援する観点から、リアルタイム分析・フィードバックへの展開が求められそう

次に読む論文

情報空間内(VR)での体験に基づく心理・認知分析。
Building long-term empathy: A large-scale comparison of traditional and virtual reality perspective-taking (Fernanda Herrera et al., 2018) 


※要点のまとめ方については、筑波大学 落合陽一先生の要領を参考にさせていただいた。
https://www.slideshare.net/Ochyai/1-ftma15