【GENT'S STYLE】公開記事:クラフツマンシップ列伝 株式会社シグマCEO 山木和人氏 レンズ編
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完全なるメイド・イン・ジャパンの製造を行う日本で唯一の光学機器製造企業、株式会社シグマ(以下シグマ)は、今年9月に創業60周年を迎える。
第二次世界大戦後、自動車産業や時計産業と同様に日本のカメラ産業は隆盛期を迎えた。カメラに合わせて多数のレンズメーカーが存在し、1960年代には50社を超えていた。その中で 1961年に創業されたシグマは最後発企業のひとつに過ぎなかった。
60年経った現在、多くのレンズメーカーが消滅を余儀なくされた中で、シグマが日本を代表する光学機器メーカーとなった理由はなにか。
メイド・イン・ジャパンのものづくりの哲学をCEOの山木和人氏に伺った。
世界最高峰の光学メーカーを目指す戦略的な理由
シグマの本社は神奈川県麻生区にあり、ここでは主に開発、営業、広報活動を担っている。福島県の会津にある自社工場ではほとんどの工程を自社内で行い、垂直統合型の製造をしている。工程の一部を協力会社に委託する場合も、東北地方のサプライヤーに委託することで、一貫したメイド・イン・ジャパンのものづくりを行っている。
2012年、創業者である父、山木道広氏の逝去により、山木和人氏が代表取締役となり、現在に至る。それ以後、交換式レンズの全プロダクトを開発コンセプトに基づいてArt,Contemporary,Sportsの三つに再編、統合をするなど数々の改革を行った。
果たして就任時に今後の経営戦略に基づく明確な指標はあったのだろうか?
山木「当社は創業者から受け継いだファミリー企業です。まず社員の雇用を守らないといけない。一般の上場企業のように利益が上がるなら海外に生産拠点を移し、日本人は解雇するといった考えにはなりません。基本は従業員もファミリーのような感覚です。そうするとコスト面では東南アジアにはかなわない。日本に残って生産を続けていくとなると、東南アジアや中国のように豊富な資源と物凄いスピードで生産活動を展開している国での物作りとは違う価値を求めなければなりません。
我々がどの部分で先行できているかというと、日本で製造を続けてきた経験を生かし、顔を付き合わせ、同じ言語や視点を共有できること、きめ細かに意思の疎通ができる者同士で最高の製品を作ることができることです。中途半端な意識では絶対に生き残れない。そのため目標を〝世界最高峰のものづくり〟としました」
追い越されてしまうという危機感
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