【GENT'S STYLE】 クラフツマンシップ列伝 MINAMI SHIRTS 南祐太氏 前編
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Text by Yoshimi Hasegawa
Picture by Marco Spola
ビスポークで作る製品には作った職人の美意識が色濃く反映される。
彼らの美意識は固有の文化によって形成されている。
英国のシャツには厳かな威厳が、イタリアのシャツには柔らかさと華やぎが、フランスのシャツには洗練されたエレガンスが宿っている。
対して日本のシャツには細部にこだわる正確さに裏付けされた端正な美しさがある。
東京日本橋に直営店、千葉県野田市に工房を構えるビスポークのシャツメーカー、南祐太氏が作るMINAMI SHIRTSミナミ シャツはその最たるものだろう。
今回は工房を訪問し、製作の現場で、日本のクラフツマンシップから生まれるメイド・イン・ジャパンのシャツについてインタビューを行った。
南氏は東京の服飾専門学校を卒業後、地元の千葉県流山市にあるシャツ工場に入社。入社当時はひたすらミシンでシャツを縫っていたが、この時にシャツ作りの楽しさに目覚める。工場で働きながら独学でビスポークのシャツ作りを学び、29歳の時にミナミ シャツを立ち上げた。日本人の体型と生活習慣を熟知することから生まれた、独自のメソッドに基づいたビスポークシャツを製作している。
南氏は採寸、型紙作り、裁断、縫製、仕上げまで、すべてを自身で行うマスターシャツメーカーだ。採寸の基本は12箇所、姿勢の癖などを計測するためにさらに8箇所、写真も撮影する。採寸の数値とパーソナルデータの蓄積を通して顧客が本当に正確なシャツ作りを実現している。
「お客さまと対峙した時、どうしたら一枚のファブリックによってこの体型を再現できるのか。それを考えて型紙をひいています。
採寸後、仮縫いはしないのですが、最初の注文時に、顧客の好みからどんな場面でそのシャツを着るのか、洗濯方法に至るまで細かく訊きます」
MINAMI SHIRTSには固有のハウススタイルはない。逆に、あらゆる顧客のリクエストに答えることができる技術力こそ、ビスポークシャツメーカーのあるべき姿だと考えている。
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