【GENT'S SYTLE】公開記事:偉大なる旅 コロナ禍旅行記「来た、見た、勝った(Veni,Vedi,Vici)!」

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「来た、見た、勝った(古代ラテン語でVeni, vidi, vici)」 
 紀元前47年、共和制ローマの将軍ユリウス・カエサルはポントス王ファルケナス2世をゼラの戦いで破り、その勝利を告げる手紙を、ローマにいる腹心ガイウス・マティウスに送った。それが冒頭の言葉であると、プルタルコス『対比列伝』のカエサル伝は伝えている。
 カエサルはわずか5日間で約2倍の兵力を誇るポントス軍を打ち破った。
 
 私はこの時、フィレンツェのパラッツオ・ベッキオにいた。
 パラッツオ・ベッキオはシニョリーア広場に面し、13世紀にフィレンツェ共和国の政庁舎として建設された宮殿だ。
 世界最大のメンズウェアの展示会第100回ピッティ・イマジネ・ウオモのオープニングセレモニーが、いつものようにここパラッツオ・ベッキオの「500人大広間」で開催されている。
 英語の通訳スピーカーで開会のスピーチを聞きながら、両サイドの壁面いっぱいに描かれた大迫力のヴァザーリの壁画「ピサ攻略」と「シエナ攻略」の戦う兵士達を眺めていたら、ふいに冒頭のユリウス・カエサルの言葉を思い出した。

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 日本から来ているジャーナリストはおそらく私だけだ。イタリア在住らしき日本人はちらほら見かけるが、日本だけではなくアジアからの参加者もほとんどみかけない。来ているのは大半がイタリア国内、EU圏内、さらにごく少数のアメリカからのジャーナリストだ。

 ピッティは去年6月と今年1月はリアル開催は行われず、デジタルのみで開催した。業界では今回もコロナ感染拡大の危険性が高いことに加え、出展者や報道関係者も来られないことを予見して、リアル開催は2022年1月にした方がいいという意見もあった。
 フィレンツェ市長ダリオ・ナルデッラ市長、ピッティ・イマジネ会長クラウディオ・アレンツィ氏、ジェネラルマネジャー、アゴスティーノ・ポレット氏など、次々にスピーチを行う。その逆風の中で押し切っての開催理由をアゴスティーノ・ポレット氏は語った。

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