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霧の朝のひそやかな願い|詩 シロクマ文芸部

229字

霧の朝
かたちのない不安に
目を凝らす

空には雲ふたつ
絵本みたいに
ふんわりならんで
中くらいのと
ちょっとちいさいの
ひとめでなかよし
すぐわかる

霧の朝
ケンカしたあと
はじめて きみに会う
気まずいかな
これで最後って
言われるかな
思ってたのと
ちがってたって

霧の朝
まだ緑の勢力つよめ
知る人ぞ知る
秘密の場所
紅に染まる時季を
みきわめ中

ちょっと待っててね
あたりまえのように
きみは言う
きみの近い未来に
わたしはいた

霧の朝
晴れても このままでも
かまわない
この淡くかすんだ空色を
そっと こころにしまう

(おわり)

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藤家 秋
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