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さゆり食堂(上)

「まこ、二人で食事へ行こう」
「うん、いいよ。久しぶりに外で食事だから嬉しい」
ウキウキ…。
電車に乗り4つめにある。
電車は苦手だ。
会社帰りの人と共にザザァーと押されて怖い思いをしたことがある。
私たちはテクテクと歩き始めた。
「面白いお店だよ。びっくりすると思う。お楽しみにね」
「へぇ~楽しみだぁ…。早く行こう、行こう」
人に揉まれながら、小走りで歩いた。
「何屋さんなの?」
「楽しみにしてて、びっくりするから」
「ところでまこ、あのスカートとバッグちょうだい。欲しくて探し回ってるけど、見つからなくて…」
「う〜ん、どうしようかなあ?」
「そうだ。今日は私のおごりでいいから」
「え〜じゃあいいよ」
「やったぁー」
さゆりは喜んでいた。
「ここだよ」
「えっ、なんか面白いお店だね…」
「今日は飲もう」
とさゆりは言い、ガラガラと戸を思い切り開ける。
和風なお店だ。
「わ〜面白い。居酒屋みたいなんじゃない?」
「そうだね。どっちかと言えば」
「人も少ないね」
「今に多くなってくるよ」
「靴はこの箱にいれて」
「うん」
「ここにある、トレーと割りばしとコップ、おしぼりにお皿2枚持ってね」
見渡して見ると、銭湯に似た雰囲気で、ところどころに人がドタっと座って、飲んだり食べたりワイワイしていた。
「へぇ~壁に草が生えてるよ」
「面白いでしょう。もっと面白いことあるよ」
「うん」
「食べたいものは、床のわらの上に乗ってるからお皿にのせて…。トレーも持っていくのよ」
「うん、けどわかんないよ」
「まこは本当に面白い子だね」
と言いながら、隠れている食べものを見つけては移動しながら、お皿にのせている。

…続く

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